自覚症状がなくても、衰えが始まっている
唾液は食事のとき以外にも分泌されていて、無意識に飲み込んでいるのが普通です。
ところが、浦長瀬先生は喉の不調などで来院した患者を内視鏡を使って診察する際、喉に唾液がたまっているのをよく見かけるといいます。これは自分では意識していないのに、飲み込む力が衰えている証拠とのこと。
自覚しないうちに、意外と早く始まる嚥下機能の低下
「60歳以上で、後述する病気がないことを確認したボランティア63人を対象にした研究で、喉に唾液がたまっている人が約65パーセント、一度で唾液を飲み込みきれない人が約58パーセントいたという報告があります。飲み込む反応が遅い人も約47パーセントに上りました。また、喉の違和感があって受診する患者さんの約3割に飲み込みに問題があるというデータがあります」。
75歳以上になると誰でも嚥下機能に何らかの障害が出てくるともいわれているそうです。
「かなり年をとらないと嚥下機能は低下しないという思い込みがあり、自分には関係ないと思っている人が多いのです。しかし、不自由なく生活していても、嚥下機能が低下し始めている人が多くいます。自らの問題として、今から嚥下機能の低下を防ぐことを考えておく必要があるのです」