飲み込んだときに力を入れ続け、喉仏を上げたままキープ
次に、飲み込むことを繰り返しながら、喉仏を動かすコツをつかみましょう。
「考えて飲み込み続けることによって、力の入れどころやタイミングなどがわかるようになります。ちょうど、ボールを投げ続けると、ボールの投げ方がつかめるのと同じです」と浦長瀬先生。
この飲み込み方を覚えるトレーニングを繰り返し行うことで、「ごっくん筋」に力が入ることを感じられるようになったら、次に「ごっくん筋」を鍛えるトレーニング(下のイラスト参照)を行います。
(1)ストローやコップから飲み物を吸う、(2)飲み物を口にためて味わう、(3)しっかり飲み込む、(4)喉仏を上げたまま、「ごっくん筋」に力を入れ続ける、(5)息を吐き出す、と簡単な動作の5ステップで、時間もかかりません。
飲み込む力を保つためのトレーニング
(1)味わいながら飲み物を吸う
ストローやコップから液体を吸う。ジュースのような飲み物を味やにおい、温度も意識して吸うと感覚も鋭敏に。とろみのある飲み物であれば、さらに負荷がかかり、吸う力を鍛えられる。むせなくなるまでは冷たい水で行う。
(2)飲み物を飲み込まずに舌の上にためる
口に入れた飲み物をすぐに飲み込まず、舌を丸めて、その上に10秒ほどためておく。このときに味、におい、温度、とろみのような食感を確認する。この間、息を止めずに鼻で呼吸する。
(3)飲み物をしっかり飲み込む
飲み込む直前に軽く息を吸う。あごを少し引き、その瞬間に飲み物をしっかり飲み込む。このとき舌が上あごについていることを意識する。首に軽く触れて、喉仏が上がり、「ごっくん筋」が硬くなることを確かめてみるとよい。
(4)喉仏を上げたまま保つ
飲み物を全部飲み込む。飲み込んだ瞬間の、喉仏が上がり、「ごっくん筋」が硬くなった状態で5秒ほどキープする。最初は一瞬だけでもOK。上げて止める時間を少しずつ長くする。
(5)口を開けて、勢いよく息を吐く
もしも誤嚥したときにしっかりと吐き出すためには、勢いよく息を吐き出す力が必要になる。腹式呼吸でも胸式呼吸でもOK。喉に飲み物が残っていたとしても、勢いよく息を吐き出すことでむせることが少なくなる。
「このトレーニングは食後に。食前だと飲み込みにかかわる筋肉が疲れて誤嚥する危険が高まる可能性があります」。
さらに舌を動かす練習もしておくといいでしょう。舌を前に出して引っ込める、上あごにつける、左右に動かす、回転させるといった動作をし、そのときに喉仏あたりを触ると喉が大きく動いているのが感じられます。
これによって、「ごっくん筋」を鍛えるトレーニングもスムーズになるはずです。
必要であれば歯を治療し、正しい嚙み合わせで咀嚼することも重要です。
前ページの項目もチェックして飲み込む機能の向上につなげましょう。
「年齢が上がるほど栄養不足になり、筋肉が落ちる傾向があります。そうなると、嚙む、飲み込む、姿勢を保つ、呼吸するといった飲み込みに必要な筋力が出せなくなります。たんぱく質を十分に摂って運動することも飲み込み機能を下げない大切なポイントです」