演じてみたかった、青のような人物。単色にはしたくなかった
「脚本の第2稿ぐらいでは、もうめちゃめちゃしゃべっていて。でも、しゃべるにしても、無口っていう設定は捨てないでほしいって撮影初日に監督から言われたんですよ。物理的にけっこうな量をしゃべっているのに無口って言われて、なかなかハードルが高いなと思いましたね。無口だけ、おしゃべりだけ、っていうものとは比べものにならない難しさだなと。でも、ちゃんと脚本を読んでみると、青がしゃべるのはほとんどリアクションで。相手が言ったことに対しての反応だったりしたので、そこを丁寧に、感情とか羞恥心とかいろいろ省かずにやっていけば大丈夫だろうなと思っていました」
自分から何かを投げかけることはなく、100%リアクションだという青ですが、そんな役を「すごくやってみたかった」と若葉さん。だから、「いい経験でした」と言う若葉さんが大切にしていたのは、「役者がそこに立っているんじゃなくて、荒川青としてそこにいるということ」。
「映画の中のキャラクターとしてやりたくないっていう気持ちがまずあって。単色にしたくないというか。青はこういう奴で、こうだから、こういうことは言わないとかやらないとか、決めつけたくなかったんですよね。それは常に念頭に置いて撮影していました」
青をフッた雪も、忘れられない青も「理解できる。人間だし、そんなこともあるんじゃない?って思うし。共感はしないですけどね」。