心静かに、向き合いたい 京都の美に触れる 第14回(全17回) この時期の京都は観光客も少なく、心静かに本来の魅力を堪能できる絶好の季節です。京都を代表する料亭が満を持して開催する“料亭美術館”、精緻な“手業の美”に出会える美術館やショップ、そして“冬の美味”を味わう食事処──。今、注目の京都のさまざまな美の形が、ここにあります。
前回の記事はこちら>> 【一品料理派】お料理 まえしろ〈麩屋町二条〉
冬のおすすめ一品料理手前から、3日かけて仕上げたとろとろの「京もち豚の角煮」、ポン酢餡がかかる「雲子の柚子釜蒸し」各1500円。旬の味や人気のおばんざいを楽しめる日替わりの「小鉢の3種盛り」1200円。上写真は「茄子の煮びたし」「牡蠣の南蛮漬」「蟹とせりのからし和え」。定番料理に旬のひと皿。心を込めた一品料理が揃う
大阪・堺の「御料理 松(ときわ)」で日本料理の“いろは”を学び、心斎橋の名割烹「梅市」や先斗町の和食店を経て2020年6月に自身の店を開いた沖縄出身の真栄城 究さん。
「日本独特の文化や豊かな風土に恵まれた京都で、お客さまから日々刺激を受けながら思い出に残る料理をお作りすることは何よりの喜びです」。
染付の大鉢に盛った「白甘鯛酒蒸し」は上品なうまみと香りが楽しめる。3000円(2人前)。正統派の日本料理を軸に、使い勝手がよく、何度も足を運んでもらえるようにと、30種類近い一品料理とコースを用意。奥さまの愛子さんと二人で店を切り盛りしています。
締めの一品昆布じめにした甘鯛とだしのバランスが絶妙な「甘鯛のだし茶漬け」1200円。締めのご飯にはさば寿司やじゃこご飯もあり、量の加減もしてくれる。一品料理は、旬の味からおばんざいまであり、ときにはメニューにない料理も品書きの素材を組み合わせて好みのものに仕立ててくれます。
例えば、白甘鯛の頭は酒蒸しに、昆布じめの身はだし茶漬けにと柔軟に対応。お客さまとのやりとりから生まれる、当意即妙の料理をいただけるのも魅力です。
カウンターの材は京都の銘木店が手がけた米杉(べいすぎ)。ご夫婦のほっこりとした雰囲気に、一人で行っても心和む。お料理 まえしろ(おりょうり まえしろ)京都市中京区麩屋町通二条下ル尾張町234 アマデウス麩屋町二條1階
TEL:075(748)1087
営業:17時~22時(LO)、昼は要予約で12時から営業 水曜定休
一品料理1000円~2000円が中心、コース7000円~
〔特集〕心静かに、向き合いたい 京都の美に触れる(全17回)
表示価格はすべて税別です。
撮影/大泉省吾 取材・文/西村晶子
『家庭画報』2021年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。