実践・マインドフルネス「ボディスキャン瞑想」
仕事や家事の合間の「ボディスキャン瞑想」で脳のフル稼働をリセットしましょう。注意を向け、手放し、次の対象に移る――。この練習が気持ちを切り替える力につながります。
【基本】体の各部に順に意識を向けていく
自然呼吸を繰り返しながら体の各部位に注意を向け、体の感覚や動きをありのままに丁寧に観察していく瞑想です。一か所の観察が終わったら大きく深呼吸をして、その部位への注意を手放し、次の部位へ意識を移します。
肩、首、頭など疲れやストレスのたまりやすい部位に意識を向けたときに痛みや凝りを感じる場合は、吐く息と一緒に外に吐き出すイメージで行います。
おおよそ15分を目安に体を一巡りします。途中で眠ってしまってもそれはそれでよし。自分は睡眠を求めていたのだ、という“気づき”ととらえましょう。
はじめの姿勢仰向けになって楽な姿勢をとる。両足は軽く開く。手は体の横に自然に置き、手のひらを上に向ける。(1)から(9)の順番で各部へ注意を向けていく。
※1つの部位の観察が終わったら大きく深呼吸をして次の部位へ移る。
意識を集中するポイント
(1)おなか…おなかが呼吸とともに上下するのを感じる。
(2)つま先…つま先を通って息が出入りするような感覚で。
(3)膝…吐く息とともに膝の疲労や痛みを吐き出すイメージで。
(4)骨盤・尻…床と接する感触や体の重さに注意を集める。
(5)おなか…再び、おなかが呼吸とともに上下するのを感じる。
(6)胸…心臓の鼓動や、血液が巡り体内を浄化するのを感じる。
(7)肩・首…吐く息とともに凝りや痛みを吐き出すイメージで。
(8)顔…あご、口、頰、鼻、眼の各部分に細かく注意を向ける。
(9)頭…新鮮な空気が頭の緊張をほぐすイメージで。
終了…意識を呼吸に戻す。つま先を動かし、手を握ったり開いたりしたらゆっくり目を開ける。
動画を見ながら「ボディスキャン瞑想」を行ってみましょう
下の動画では川野さんの詳しい解説を聴きながら瞑想を行うことができます(約15分)。
【応用】アロマオイルに包まれるイメージで
ボディスキャン瞑想は、坐禅を組んだり、椅子に座ったり立ったりした姿勢でも行えます。意識をおなかとつま先と頭だけに集中する、特に疲れを感じる部分とおなかを交互に集中する、など簡略化しても効果があります。
また、次のように香りのイメージと結びつけて行う方法もおすすめです。
「頭の上にアロマオイルのボールが乗っています。ボールが少しずつ溶けて流れ出し、体全体を覆っていきます。それと同時に体の各部位の感覚を丁寧に観察しましょう。やがて体全体がいい香りに包まれ、体全体がふわふわと浮いてきます。疲れが抜け出て、体内が解毒され、心が浄化されていきます」。
これは江戸時代中期の僧侶・白隠(はくいん)禅師が生み出した瞑想法「軟酥(なんそ)の法」の応用です。ボディスキャン瞑想の元祖ともいわれ、頭の上の酥(古代の乳製品。バターのようなもの)が溶け、体を解毒し心を浄化するイメージで行われていました。
ワンポイントアドバイス
不快に感じる部位は飛ばしましょう特定の部位に意識を集中させたときに、凝りや疲れとは異なる不快感や嫌悪感、不安に襲われることがあるかもしれません。
たとえば下腹部に集中すると下痢を起こしそうな気がする、首に意識を向けると息苦しくなる、などです。そのような場合は無理をすることなく、飛ばして次の部位に注意を移動させましょう。