デルフト焼の壺、マッシモ・リストリの大判写真を背景にしたダイニングテーブル。モロッコの女性アーティストによる刺繍作品、手吹きのベネチアングラス、そして家族の紋章が刻印された銀器が、代々の真葛作品と調和している。クレリア・ドゥ・シュアレズ・ドーランさん
(インテリアコーディネーター)
本誌2019年6月号でノルマンディーのシャトーを披露してくれたクレリアさんは、王族の顧客も多いインテリアコーディネーター。少なくとも11世紀にさかのぼる貴族の家柄だけあって、パリの自宅にも代々伝わる銀食器や陶磁器がたくさんあります。今回はそこに真葛焼を取り入れたダイニングテーブルをセッティングしてくれました。
フランスとオーストリアの名門貴族の系譜を継ぐ家に生まれ、ニューヨーク、東京に暮らした経験も持つ現代社交界の花形、クレリアさんは卓越した審美眼の持ち主。彼女の手にかかると、乾山写の向付もマカロンを盛る菓子器に。あでやかなテーブルの華になる。「古いものも、新しいものも時代も国の違いもミックスして
生まれる美しさが好きです」
焚合せの交趾鉢を見たとき、レモンと合うと直感したというクレリアさん。「食卓に飾るのは花だけではなく、フルーツや野菜もいいと思います。しかもこの鉢なら卓上の高さに変化をつけて楽しむことができます」。また、「次第に消えゆくような色の感じがとても美しい」という真一さん作の鉄釉掛分焼物鉢はマイセンの皿に重ねて。アンティークとコンテンポラリーの上質で贅沢なマッチングを見せてくれました。
〔特集〕海を渡った京焼の器と、おもてなしの心 パリと真葛焼、茶懐石の一会(全3回)
京都・真葛焼の器を特別に誌上販売します
パリでフランス人に称賛された真葛焼の茶懐石の器を、読者の皆さまに特別誌上販売いたします。茶懐石のみならず、日常にも使える真葛焼の器をお手もとに置いて、日本の器の美を再認識してみてはいかがでしょうか?
撮影/武田正彦 コーディネート・取材・文/鈴木春恵 取材協力/今津京子 パリ日本文化会館 パリ装飾芸術美術館
※この記事は2020年2月上旬に行われた催事を取材したものです。
『家庭画報』2021年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。