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卵巣がん予防最前線〜有効な検診法がない卵巣がんの死亡率減少をめざして〜

2017.12.15

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子宮筋腫など良性疾患の手術で子宮全摘術を行う際、卵管を追加切除する予防的卵管切除の有効性

三上幹男さん

日本婦人科腫瘍学会 常務理事
東海大学医学部 産婦人科教授
三上幹男さん
1984年慶應義塾大学医学部卒。

2006年より東海大学医学部産婦人科教授。
17年日本婦人科腫瘍学会ガイドライン委員会委員長に就任する。

予防的卵管切除の有効性


卵巣がんは進行した状態で発見されることが多く、治りにくいがんの一つだといわれています。それでも世界的にみると、日本は卵巣がんの発症そのものが少ないのと、がんを取りきる手術の技術力が高いこともあって、卵巣がんで死亡する人は欧米諸国よりも少なく、しかも年々少しずつ減っています。

ところが「年齢別でみると、49歳以下の女性で卵巣がんの死亡率が増えており問題視されています」と指摘するのは日本婦人科腫瘍学会常務理事・ガイドライン委員会委員長で東海大学医学部産婦人科教授の三上幹男さんです。

卵巣がんは組織型で分類されており、漿液性がん、類内膜がん、粘液性がん、明細胞がんの四種類に分けられ、このうち漿液性がんが約45%と半数近くを占め、次いで多いのが明細胞がん(約25%)です。「この明細胞がんが49歳以下の女性に増えており、背景として子宮内膜症との関係が指摘されています」と三上さんは説明します。

じつは卵巣がんのタイプによって前駆病変がみられるものがいくつかあり、明細胞がんもそのうちの一つで、前駆病変として判明しているのが子宮内膜症です(下表参照)。

子宮内膜症


「卵管上皮、子宮内膜上皮細胞が卵管を逆流し、排卵を契機に卵巣に着床することが卵巣がんが最初に発生する場所(発生過程母地)と考えられています。また、子宮内膜細胞が卵巣に着床すると内膜性囊胞(チョコレート囊胞)になり、このチョコレート囊胞から明細胞がんが発生するのです」と三上さんは解説します。
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