産婦人科施設の約6割で実施。全国にさらに普及する見通し
そこで、有効な検診法がない卵巣がんを予防するために注目されているのが「予防的卵管切除」です。これは子宮筋腫などの良性疾患で手術を行う際、子宮全摘術となる人の卵管を追加で切除するというものです。
「海外の大規模調査では卵管結紮(けっさつ)や卵管切除により卵巣がんの発症率が減少していることが報告されており、卵巣がんの有効な予防法になる可能性があります」と三上さんは期待します。なお、卵巣は取らないので、女性ホルモンへの悪影響などはありません。
三上さんが実施した全国調査によると、すでに国内の60%余りの産婦人科施設で行われているそうです。「日本産科婦人科学会と日本婦人科腫瘍学会では卵巣がんの治療を専門としない産婦人科医にもさらに啓発活動を展開し、卵巣がんの予防にいっそう貢献していきたいと考えています。明細胞がんや類内膜がんだけでなく、高齢女性に多い漿液性がんの発症を防ぐともいわれているので、このような予防法があることをぜひ知って活用してください」と三上さんは話しています。 Information
東海大学医学部付属病院
神奈川県伊勢原市下糟屋143
「家庭画報」2018年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。