ゆったり、あったか長風呂のすすめ 「感動のバスルーム拝見」第3回(全9回) おうち時間が長くなっている今、家の中で、どう楽しく心豊かに過ごすかは、日々の暮らしの大きなテーマとなっています。温水浴を習慣とする日本人にとってお風呂は単に衛生のためだけでなく、心身を癒やすくつろぎのためのもの。ストレスを取り除き、明日への英気を養ってくれる─ ちょっと贅沢で優雅なバスタイムを考えます。
前回の記事はこちら>> 小道具を使って半身浴でゆっくり読書
津田邸(兵庫・芦屋)設計/T-Square Design Associates
洗面スペースを含む浴室自体の占有面積はコンパクトながら、外周のテラスとつなげたことで、物理的にも視覚的にも広がりが生まれている。撮影時は庭先の紅葉が見頃で、“紅葉風呂”となった。浴室を囲むテラスは、日本家屋の縁側感覚で、涼む場となる。建築家の津田 茂さんは、大のエアコン嫌い。自邸の設計に際し、北側を除く、家の3面すべて開口部とする大胆なコンセプトで、自然風だけで暮らせる家を造りました。その結果、生まれたのが住宅地にあるとは思えない開放感溢れるこのお風呂。浴槽を囲うガラスの建具を開け放てば、宙に浮いた露天風呂のよう。午前中は六甲から吹きおろす山風、午後は逆に海から浜風が流れ、津田さんが意図した自然風がいちばん感じられる場に。
木製の格子戸を閉めれば外からの視線は気にならない。浴槽はコンクリートに「天然石に見える」陶器質タイルが貼られている。木製の書見台は津田さんがネット通販で購入したもの。浴槽はオリジナルですが「温泉が気持ちいいのは足を伸ばせるから」と、浴槽の大きさにこだわりました。「日本の春夏秋冬の美しさが家に居ながら楽しめるので、温泉に行く必要がなくなった」と津田さん。風と緑を感じながら、日々ゆったりと半身浴と読書を楽しんでいます。
〔特集〕ゆったり、あったか長風呂のすすめ「感動のバスルーム拝見」(全9回)
撮影/本誌・大見謝星斗 スタイリング協力/山田喜美子
『家庭画報』2021年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。