小ぶりで端正な姿の大福は、東京・曳舟「いちや」の「いちやの大福」。餡は皮が薄い北海道産大粒あずき「豊祝(ほうしゅく)」を上品に炊き、餅は滋賀県産の羽二重糯(もち)で舌触りよく仕上げている。詳しくは次のページ>>ふっくらとした肌に白い粉をまとった大福は、かぶりついていただく気安さから、ふだんのおやつに親しまれています。室町時代の「鶉餅(うずらもち)」や、江戸時代の「腹太餅(はらぶともち)」と呼ばれる塩餡入りのお餅をもとに、明治初期、東京・小石川に住んでいたおたよさんが、砂糖入りの餡を詰めた餅を「おた福餅」「大福餅」として売ったのが大福の原型といわれています。基本は白い餅に餡の入ったものですが、そこから豆大福、草大福などが生まれました。
「売り切れごめん」並んででも食べたい人気店
朝生菓子と呼ばれるだけあり、その日のうちに食べるのが大福の基本。人気店では売り切れも日常茶飯事です。大福自慢のお店を新旧取り混ぜてご紹介します。
※以下の大福データは(1)豆の種類(2)餡やクリーム(3)大きさ(4)重さ を表しています。
※個体差があります。
松島屋
開店前から行列覚悟でできたてを塩のきいた餅に3時間以上やわらかく蒸した赤えんどう豆がたっぷり、やや塩がちの黄ざら糖も入ったコクのあるつぶし餡が3代続く「松島屋」の決まりです。赤えんどう豆は本来の甘みだけで蒸し、包まれた後に餅の塩気を吸って、程よい塩加減に。
もち米は初代夫妻の出身地、宮城の「みやこがね」、つく機械は100年前からある石臼と杵で、つぶし餡も昔ながらの木の水きり桶で絞るなど、すべてが手作業。ご主人の文屋 弘さんは「祖父が始めた頃、この辺りは馬込から野菜を積んだ馬車が通る道だったの。帰りに一服してもらう庶民のお菓子がこの大福。だからちょっと塩がきいてね、甘くてしょっぱいのがよかったんだよ」と今も身近なお菓子として味わってほしい、と話します。
1.豆大福
できたてのほのかに温かく、やわらかなときも、なじんでしっとりと落ち着いたところも、それぞれにファンがいる。1個190円(税込み)。
(1)赤えんどう豆
(2)つぶし餡
(3)直径4~5×高さ4センチ
(4)80~90グラム
2.草大福
餅に混ぜ込まれた蓬よもぎの香りが印象深い。同じ餡でも異なる印象を受ける。塩なしでつきあげる餅が蓬を引き立てる。1個190円(税込み)。
(1)なし
(2)つぶし餡
(3)直径4.5~5×高さ3.5センチ
(4)70~80グラム
3.きび大福
真っ白な手粉の下からほのかな黄色がのぞく。きびのプチプチとした餅が、豆とは異なる食感で美味。1個190円(税込み)。
(1)なし
(2)つぶし餡
(3)直径4.5~5×高さ4~5センチ
(4)75~80グラム
松島屋東京都港区高輪1-5-25
TEL:03(3441)0539
営業時間:9時30分~16時
日曜定休