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プロ直伝の技で、オクラや長いもを上手に調理しましょう

2021.07.26

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

オクラと長いもの梅和え


オクラと長いもの梅和え

本日はオクラと長いもを使った料理です。長いもは「長いものわさび漬け、梅焼き」で既にご紹介しましたが、皮をむくと滑って扱いにくい食材です。オクラも茹でると同様で、そんなぬるぬるの素材の扱い方と料理をご紹介します。

プロがよく自慢げに秘伝の〇〇みたいなことを語りますが……、私はそんなものは今やほとんど存在しないと考えています。


例えば代々受け継がれているたれを例に挙げます。

たれを使う度に新しく作るのは非効率ですし、残ったたれを捨てるのは経済的ではありません。当然、火を入れて毎日使い続けることになります。大昔はみりんなどが高かったので、みりんではなく砂糖を加えてたれを作ったようですが、使い続けるうちにたれの中で化学反応が起き、みりんに含まれる成分と同様のものが生じます。この反応が起きるには使い続けることと時間が必要で、即座にはできないので“秘伝のタレ?"と大事にされたという話もあります。砂糖ではなくみりんを使えば、最初からそれに近いものができますし、素材を生かすという点から見れば、たれは補助的役割の位置づけです。

また、これだけ情報があふれ、容易に入手できる現在、料理に関してもほとんどの知識やノウハウは手に入ります。

しかし、手に入らないものがあります。ネットや本では学べない現場のプロの代々の工夫の積み重ねです。

今日はぬるぬるで扱いにくいオクラや長いもをプロがどう扱うのかをご紹介します。それでは野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「オクラと長いもの梅和え」は野菜料理をおいしくする7要素中5要素を取り入れている

◎旨み ◎塩分 甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

茹でる前に切る。滑りやすい素材は滑らないように扱う。先達の知恵と工夫を学び、今に生かす。ぬめるからうまくいかない、できないではなく、工夫することを楽しむべし。

・刃に厚みのある包丁で切ると長芋は確実に割れる。なるべく刃の薄い包丁、家庭にあるものであればペティナイフが最も適している。

・包丁は上から下へ叩くように使うと滑らない。







「オクラと長いもの梅和え」


オクラと長いもの梅和え

【材料(2人分)】
・オクラ 4~5本
・長いも 3cmくらい
・梅肉 適量
揚げ昆布 適量

美味出汁 適量
出汁4:濃口醤油1:日本酒1:みりん0.8の割合

土佐酢 適量
出汁4:薄口醤油1:みりん1:酢1の割合

【作り方】
1.オクラはせん切りにする。枝元の部分とガクの部分を切り取り、縦に2つに切る。白い種の部分をナイフやスプーンで取り除く。丸ごと茹でた後では、滑って種が取りにくい。

2.鍋に湯を沸かし、1のオクラを入れて茹で、ざるに上げて薄く塩をふっておく。

3.2が冷めたらせん切りにする。包丁で上から下に叩く感じで切っていくと滑ってズレたりしない。滑るようであれば、水で濡らして絞ったクッキングペーパーをまな板の上に貼りつけ、その上で切るとよい。

4.長いもは皮をむき、幅3cmくらいに切る。刃の厚みの薄いペティナイフを使うといもが割れない。次に長いもを4mm角の棒状に切るのだが、滑りやすいので工夫する。長いもは切り口の断面が上下になるように置き、ペティナイフでまずは縦4mm厚さにスライスする。90度全体の向きを替えて、同様に4mm厚さの棒状に切っていく。こうすると滑らずに、しかも効率的に切ることができる。3と同じようにクッキングペーパーを敷いてもよい。

5.せん切りしたオクラを揃えたまま器に盛る。棒状に切った長いもを梅肉で和えてオクラの上に。最後に揚げ昆布をのせて仕上げる。好みで美味出汁や土佐酢をかけてもよい。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時〜14時 (夜)17時30分〜23時 ※土曜日のみ17時〜
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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