タサン志麻(タサン・しま)日本の調理師学校と同校のフランス校を卒業後、現地のミシュラン3つ星店での研修を経て都内フランス料理店で15年間働く。2015年フリーランスの「家政婦」として独立。確かな技術と柔軟な発想で作る料理が評判を呼び、「伝説の家政婦」に。フランス人の夫、2人の息子、2匹の猫と賑やかに暮らす。真っ赤なトマトを冷たいスープに
文・タサン志麻
暑い夏は、食欲が出ないときや、キッチンに立って火を使うのさえ嫌なときがあります。そんなときは冷たいスープがいちばん。
冷たいスープといっても、じゃがいもとねぎで作ったヴィシソワーズスープや、かぼちゃのポタージュなどさまざまです。
中でも火を使わず、ミキサーにかけるだけの簡単なガスパチョをご紹介します。
ガスパチョはスペインやポルトガルの料理として知られていますが、フランスでも夏場はよく食べます。
本場の作り方や一般的な作り方では、パンをいっしょにミキサーにかけてポテッと仕上げることが多いのですが、今回はつなぎなしでさらっと仕上げます。
ガスパチョ発祥の地、スペインのアンダルシア地方ではもともとはパンと水、酢、にんにくだけで成り立っていたスープで、トマトやきゅうりなどの野菜が入るようになったのは19世紀に入ってからのようです。
とはいえガスパチョといえば、やっぱりトマト。この時期のトマトは太陽の日差しをたくさん浴びて味も濃く、おいしいのですが、スーパーや八百屋さんでトマトを選ぶときが肝心で、なるべく真っ赤に熟れたものを選びます。
へたの部分が見えるように売られていたなら、そこまでしっかりと熟しているか、チェックして買いましょう。トマトの皮はミキサーにかけても口に残ってしまうので、少し面倒ですが湯むきをしたほうが滑らかな口当たりになります。
スープとして飲むのはもちろん、ソースとしても使えるので、そうめんや冷しゃぶのソースにしたり、蒸したり焼いたりした魚介類と合わせてもおいしいものです。
にんにくや玉ねぎなどの野菜が入ることでさっぱりとした中にも食べ応えのある、力が湧いてくるスープです。
◆レシピに書けない 志麻さん流 ガスパチョ活用術◆
冷やしたガスパチョはソースとしても万能です。冷しゃぶにかけると彩り鮮やかで栄養バランスのよい一皿に。スープとしての味つけでは塩分が穏やかなので、たっぷりかけてお召し上がりください。和の薬味を合わせて、ぶっかけそうめんにもおすすめです。