タサン志麻(タサン・しま)日本の調理師学校と同校のフランス校を卒業後、現地のミシュラン3つ星店での研修を経て都内フランス料理店で15年間働く。2015年フリーランスの「家政婦」として独立。確かな技術と柔軟な発想で作る料理が評判を呼び、「伝説の家政婦」に。フランス人の夫、2人の息子、2匹の猫と賑やかに暮らす。残暑を乗り切るための一皿
文・タサン志麻
昔から酸っぱいものが好きな私は酸味のきいた料理が好きです。中でもさばの白ワイン煮はさばの旨みがギュッと凝縮し、レモンと白ワインのさわやかな酸味がきいていてお気に入り。
野菜はシンプルに玉ねぎとにんじんだけですが、この野菜がまた旨みを吸って、しゃっきりとした食感をもたらしとてもいいアクセントになり、ワインが進みます。
作り方はとっても簡単。新鮮なさばを選ぶほうがもちろんいいのですが、塩さばでも作ることができます。
フランス人は直火よりもオーブンを使うことが多いくらいなので、本来ならばオーブンで仕上げますが、今日はフライパンで気軽に作ってみましょう。
ポイントはフライパンの温度を一気に上げて沸かし、生臭さが残らないようにすること。しっかり沸騰させたのを確認してから落とし蓋をして煮込みます。
ふっくらと火が入ったら一度冷蔵庫で冷たく冷やします。酸味のきいた料理なので温かい状態よりも冷やしたほうがおいしいですし、冷めることで味もしみこみます。
一方で冷たい料理は味を感じにくいので、きちんと旨みを感じるために、生のさばの場合は塩をしっかりふることが大切です。
冷蔵庫で4~5日持ちますから、たくさん作っておいてサラダと一緒に前菜として食べたり、ゆでたじゃがいもやブロッコリーを添えて、暑い日のメインディッシュにしたりなどもおすすめ。
休日のランチにはパンにはさんでさばサンドに、クラッカーにのせておつまみに、といろいろなアレンジを楽しんでください。
塩さばを使う場合は塩をしない、もしくは控えめにしてこしょうだけふります。
そしてもっと簡単に、さばの水煮缶を使っても作ることができます。さばにはすでに火が入っているので、野菜を白ワイン、ビネガー、塩こしょうで煮て、1/3くらいに煮詰まって野菜と煮汁がなじんだら、水煮のさばを漬け込んで冷やします。
◆レシピに書けない 志麻さん流 さばの白ワイン煮活用術◆
白ワインの風味や野菜の旨みを含んださばは、シーンを選ばず前菜としてもメインとしても楽しめます。
また、ほぐしてサラダにしたり、サンドイッチにしたりするのもおすすめです。
粒マスタードを塗ったパンに、きゅうりやにんじんの細切りとさばの白ワイン煮をはさんで。サンドイッチはツナのようにほぐしてもいいのですが、トルコ名物のさばサンドのようにそのままはさむと存在感抜群です。