タサン志麻(タサン・しま)日本の調理師学校と同校のフランス校を卒業後、現地のミシュラン3つ星店での研修を経て都内フランス料理店で15年間働く。2015年フリーランスの「家政婦」として独立。確かな技術と柔軟な発想で作る料理が評判を呼び、「伝説の家政婦」に。フランス人の夫、2人の息子、2匹の猫と賑やかに暮らす。今秋には第3子を出産予定。秋の味覚をフレンチ風に
文・タサン志麻
日本でもフランスでも、秋の味覚といえばきのこです。
日本でも見かけるマッシュルームはフランスではシャンピニオン ド パリ(champignon de paris)、つまり「パリのきのこ」という名前がついています。
黄色く見た目もかわいいジロール茸(girolle)、またイタリアのポルチーニはフランスではセップ茸(cèpe)、トロンペット ドゥ ラ モー(trompette de la mort)はなんと「死者のトランペット」という意味で、真っ黒でラッパのような形をしています。
皆さんご存じのフランス三大珍味の一つ、トリュフ(truffe)も秋の料理には欠かせません。
その他、編み笠を被ったようなモリーユ茸(morille)や、「羊の足」という名前のついたピエ ド ムトン(pied de mouton)など、本当にたくさんの種類があって見ているだけで楽しくなります。
日本のスーパーでも秋になると種類が増えてきますが、きのこは年中手に入り、値段も安く、そして何よりも旨みが魅力です。その旨みを生かすポイントは2つあります。
1つはしっかりと塩をすること。旨みの強い食材には少し多めの塩をして、それを最大限に引き出すと、よりおいしく仕上がります。
2つめは旨みを凝縮させること。きのこは水分が多い食材なので、その水分が飛ぶまでしっかり煮つめながら炒めるか、逆に動かさずにじっくり焼きつけます。
きのこは焼いても煮ても揚げても、そしてマリネにしてもおいしい食材です。いろいろな調理法で楽しめますが、ここでは簡単にできる一品をご紹介します。
今回は鶏もも肉を使いましたが、豚肉や牛肉、魚でも同じように作ることができますので、是非さまざまなきのこを使って秋の味覚を楽しんでください。
◆レシピに書けない 志麻さん流 きのこクリームソースの楽しみ方◆
秋の味覚、きのこの旨みがギュッと詰まったソースは、肉にも魚にもよく合います。どんな素材でも基本的な作り方は鶏肉と同じです。
豚ロース肉(豚カツ用)を使う場合も、最初に強火でしっかり焼き色をつけ、旨みのもとを作ります。
裏返してきのこや調味料を加えてふたをしたら、弱めの中火で5分ほど蒸し煮してください。豚肉ときのこの旨みが溶け合う力強い味に仕上がります。