小室流 レシピを伝授!
手作りがやっぱりおいしい「お煮しめ」
一口サイズを大根の台に立てたピンチョス風のお煮しめ。松茸、筍、梅干しの含め煮で松竹梅。運がつくと喜ばれるにんじん、れんこん、なんきん、きんかん。そのほか、里いも、ごぼう、たこ、あわび、手鞠麩を青竹の串に通して。〔盛り付けのアイディア〕スタンド皿ならスペシャル感抜群!華やぎの末広お煮しめに。〈ブルーフルーテッド ハーフレース〉ケーキスタンド(直径31×高さ13.5センチ)8万8000円/ロイヤル コペンハーゲン 本店おせちは手作り以外の選択肢も広がりましたが、「お煮しめ」はご家庭で手間をかけるからこそおいしさが光る料理です。
だしパックや低温加熱といった、便利なアイテムや今どきのテクニックを柔軟に取り入れた、小室流レシピをご紹介します。
極上の一番だしで作る「吉祥お煮しめ」
色合いや縁起のいい組み合わせを意識して、竹串に刺す。煮しめはしっかり冷めてから串に刺すとくずれにくい。色合いや縁起のいい組み合わせを意識して、竹串に刺す。煮しめはしっかり冷めてから串に刺すとくずれにくい。
「お煮しめは素材ごとに適した下ごしらえと味つけで、それぞれ別炊きにします。同じ鍋の中で一緒に煮てしまうと味が混ざり合い、澄んだ味わいに仕上がりません」と小室さん。
煮上がった野菜は、乾燥しないように紙蓋をして、煮汁ごと保存しておく。一つずつ面取りして丁寧にあくをすくい、手間をかけてごく薄味に煮上げた野菜のおいしさは格別。家庭で一番だしが簡単にとれる、店特製の「一番だしパック」を使うことで、品のいい極上の味わいになります。
煮物は冷めていく間に味が入るため、煮てからいったん休ませて、ゆっくり味をしみ込ませ、再び火を入れるのがコツです。
●だしパックの使い方(1)鍋に軟水1と1/2カップを注ぎ、「だしパック」1袋をつけて1時間ほどおく。
(2)鍋を火にかけ、沸いたらパックを取り出す。
お煮しめの作り方
【材料は4人分】
●京にんじん(1)京にんじん1本は皮をむいて1センチ厚さに切る。型抜きで梅形に抜き、花びらに飾り包丁を入れる。柔らかくなるまでゆでて水にさらす。
(2)鍋にだし2と1/2カップ、みりん150ml、白醬油20ml、塩小さじ1/2を入れて火にかけ、(1)を入れて10分ほど煮て、火を止める。1時間ほどおき、再び火にかけて20〜30分煮て火を止め、白梅酢小さじ1/2を入れる。
●ごぼう(1)土つきごぼうはよく洗い、6センチ長さに切る。これを8本用意し、たっぷりの水で30分程度、柔らかくなるまでゆでる。
(2)鍋にだし1と1/2カップ、みりん75ml、濃口醬油大さじ1と1/3、水あめ大さじ1/2、動物性の脂(牛肉や鴨肉の脂、鶏皮など)50グラムを入れて沸かし、(1)を入れて10分ほど煮て火を止める。1時間ほどおき、再び火にかけて煮しめる。
●里いも(1)里いも8個は六方に皮をむき、盛りつけたときに上になるほうのみ面取りをする。蒸し器に入れて柔らかくなるまで蒸し、取り出して常温になるまでそのまま乾かす。
(2)鍋にだし3カップ、みりん90ml、薄口醬油大さじ2、水あめ大さじ3/4を入れて火にかけ、(1)を入れて紙蓋をして10分ほど煮る。火を止めて1時間ほどおき、再び火にかけて30分ほど、煮汁が半量になるくらいまで煮る。
●新たけのこ(1)新たけのこ4本は皮をむき、下ゆでする。
(2)鍋にだし2と1/2カップ、酒・みりん各50ml、白醬油20mlを入れて火にかけ、(1)を入れる。追い昆布5センチ角、かつお節ひとつかみをティーバッグに入れて加え、4〜5分煮て火を止める。1時間ほどおき、再び火にかけて仕上げる。冷めたら食べやすい大きさに切る。
●手毬麩(1)手毬麩8個は湯に落とし、3〜4分煮る。
(2)鍋にだし1と1/2カップ、みりん60ml、グラニュー糖·白醬油各大さじ1、塩ひとつまみを入れて火にかけ、(1)を2〜3分煮たら火を止め、冷ます。
●れんこん(1)れんこん2節(直径約6センチ)は皮をむく。鍋に水適量、酢少々、れんこんを入れて水からゆでる。沸いてきたら1分くらいで引き上げ、ざるにとる。
(2)鍋にだし4カップ、みりん1カップ、白醬油80mlを入れて火にかけ、(1)を入れて15分くらい煮る。冷めたら約1センチ厚さに切る。
●松茸(1)松茸小2本は濡れふきんなどで表面をきれいにふき、石づきを取る。
(2)鍋に縦2つに切った(1)、だし1カップ、みりん大さじ1と1/2、濃口醬油大さじ1/2を加えて火にかけ、沸いてきたら火を弱めて7〜8分ことこと煮る。
●かぼちゃ(1)かぼちゃ1/4個は種を取り除いて、食べやすい大きさに切り、面取りをする。
(2)鍋に(1)、だし1と1/2カップ、みりん75ml、薄口醬油20ml、きび砂糖大さじ1/2を入れて強火にかけ、汁が少し煮つまってきたら火を止める。
●あわび(1)あわび1個(約200グラム)は殻からはずして肝を取り、歯ブラシなどで表面をきれいに掃除する。
(2)皿に(1)をのせて酒大さじ1/2をふりかけ、蒸気の上がった蒸し器に入れて3時間、柔らかくなるまで蒸す。
(3)鍋に(2)のあわびを汁ごと入れ、みりん小さじ2、薄口醬油小さじ1を加えて、汁気がなくなるまで煮含める。汁が少ない場合は、水、酒を各適量足す。
●たこ(1)たこの足8本はぬか磨きをしてから、大根で叩いた後、沸騰した焙じ茶で約2分ずつ2回茶ぶりにする。
(2)鍋に(1)、かぶるくらいの水、酒2カップを入れて1時間30分、弱火でことこと煮る。水が減ってきたら、そのつど足す。
(3)みりん1と1/2カップ、濃口醬油130mlを加え、20分炊いて仕上げる。
●梅干しの含め煮(1)梅干し8個は水につけて、程よい塩気が残る程度に塩抜きをする。
(2)鍋に(1)、かぶるくらいのだし、酒・みりん各大さじ1、薄口醬油小さじ1を入れて、弱火で煮含める。
小室光博さんMitsuhiro Komuro/1966年東京生まれ。「辻留」の辻嘉一氏の一番弟子だった高橋一郎氏の茶懐石料理「和幸」で7年間修業。2000年に東京・神楽坂に「懐石小室」を開店。2018年に現在の若宮町に移転する。茶道・遠州流の家元付き料理人としての顔も併せ持つ。