奈良の桜紀行 第13回(全25回) 奈良の桜こそ、私たちが今いちばん見たい風景ではないでしょうか。新たに誕生した宿、地元に愛される美食処とともに古都の桜の名所をご案内します。
前回の記事はこちら>> 奈良に、旨いものあり
地元の食材を存分に活用したり、奈良の歴史や情景に思いを馳せた料理がいただける名店から、新しくオープンした注目店まで。桜見のあとには、奈良の美食をぜひご堪能あれ。
東吉野の天空の庭、高見の郷の風情を感じる吉野桜の桜チップをまとわせた大和牛炎舞焼と桜ポテト。肉にかかる卵黄醤油には吉野卵を使用。白(つくも)(紀寺町)
宇陀の瀧桜を表現したちらし寿司。染付の器の中は宇陀に隠居していた猛将、後藤又兵衛の晩年の姓「水貝」にちなんだ水貝。美しき古都の風趣を感じる、唯一無二の料理
奈良の自然や歴史と長く受け継がれてきた食材をリンクさせながら情感溢れる料理で魅了する日本料理「白」の店主・西原理人(まさと)さん。
「京都吉兆」を経てニューヨークやロンドンで研鑽を積んだ後、日本の文化や食材の起源が多く集まる奈良に店をオープンし、さらに料理を進化させています。
時を経た古いものと現代のものを組み合わせ、独自の料理を発信する西原理人さん。「奈良の春は花三昧。名所を思い浮かべながらその情景を食材や器で表現しています」。
「風趣」と謳っている一品は宇陀の瀧桜、金目鯛の羹(あつもの)は長谷寺の牡丹、大和牛の焼き物は高見の郷の吉野桜をお題に息を呑む美しさと複合的な味の構成で食通たちの歓喜を誘います。
下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。 Information
白(つくも)
奈良市紀寺町968
- 月曜・最終火曜・1日の昼定休 昼(一汁三菜)6000円〜、夜1万7600円〜。要予約(2か月先まで)。
撮影/大泉省吾 取材・文/西村晶子 ※料理の内容は、一部変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。
『家庭画報』2022年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。