極上のあんみつ 第3回(全16回) 涼をもたらす見た目に、体に沁みる優しい甘さ。盛夏にぴったりの大人の甘味をお届けします。
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あんみつの歴史を巡る
ホール開店当時と変わらぬ味の「元祖みつ豆」と、こし餡、つぶ餡を選べる「あんみつ」。喫茶室で提供。みつ豆やあんみつはいつ、どこで生まれたのでしょうか。始まりは江戸時代末期の屋台で売られていたおやつ。しん粉(米粉)細工の舟にえんどう豆を入れて蜜をかけた江戸庶民の味でした。
これにヒントを得て、1903年に、「舟和」の主人・小林和助氏が角寒天、求肥、赤えんどう豆に、色鮮やかなフルーツを添えて蜜をかけ、「みつ豆」としてデビューさせました。
そして、みつ豆を出す初の喫茶室「みつ豆ホール」を開店したことで、舟和がみつ豆の元祖といわれています。みつ豆が、あんみつへと発展するのは、その27年後、昭和の銀座でのことでした。
明治35(1902)年創業の舟和。芋ようかんで一世を風靡した。写真は大正時代後期の「みつ豆ホール」。 撮影/南都礼子 取材・文/北村美香
『家庭画報』2022年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。