ここでしか味わえないひと皿で魅了する 世界一美味しい日本のイタリア料理 第6回(全10回) 特別な日にはエレガントなリストランテの料理、日常では気軽にパスタやピッツァやドルチェ……。ここまでバラエティに富んだイタリア料理を楽しめるのは、世界において日本だけかもしれません。時代ごとのムーブメントを積み重ねながら、確実に進化している日本のイタリア料理。その現在地に迫ります。
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今や東京のイタリア料理界で欠かせない存在となった、ハイブランドが展開するリストランテ。異国である日本で、さらなるイタリア料理の高みを目指す気鋭シェフを訪ねました。
目を閉じて、イタリアを感じられるかどうかが鍵
「ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン」ルカ・ファンティンさんルカ・ファンティンさん イタリアの3つ星「ラ・ペルゴラ」などファインダイニングで研鑽を積み、2009年に来日。アジアのベストレストラン50にランクインするなど日本のイタリア料理の最先端で活躍。2011年よりミシュランガイド東京で1つ星。日本に来て13年余り。「ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン」のシェフを務めるルカ・ファンティンさんは、今でこそ日本の食材を使いこなし、日本についての知識も豊富ですが、来日当初は日本の文化、習慣などについて全く知らなかったといいます。
山菜、菜の花、帆立ピュレ、野菜のブロード、はまぐりのだし、コラトゥーラ(イタリアの魚醬)、レモンの皮で仕立てた緑鮮やかなソースであえたリングイネ。「まずいろいろな料理店を回って研究しました。日本のイタリア料理とイタリアのそれは何が違うのかを考えるうちに、まぎれもない“イタリアの味”を表現していかなければならないと思い至ったのです」。
日本で手に入る新鮮な、季節を感じる素材を主役にする、しかし、イタリアにはない日本特有の素材や調味料は使わないと決めました。
13歳から料理の世界に入り、トップ・レストランで研鑽を積んだファンティンさんがクリエイションするのは、素材の味がダイレクトに感じられる料理。
さわらに、玉ねぎ、にんじん、トマト、白ワイン、レモン、イタリアンパセリなどで作ったブロードを合わせた、春のひと皿。「日本の野菜、魚介はとりわけ素晴らしい。そのよさを生かすにはなるべくシンプルに、皿上にのせる素材は2〜3種類にとどめ、上質なオイル、レモンやオレンジの香り、ほんの少しのヴィネグレットで味をととのえる。繊細でヘルシー、そしてイタリアを感じること、それが私の料理なのです」
ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン東京都中央区銀座2-7-12 ブルガリ 銀座タワー9階
TEL:03(6362)1270
営業時間:17時30分〜20時(LO)
日曜・月曜定休
コース2万6950円 要予約
撮影/本誌・坂本正行 取材・文/池田愛美 ※本特集でご紹介するレストランの料金には、別途サービス料がかかる場合がございます。予めご了承ください。
『家庭画報』2023年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。