まさに“名古屋のシグネチャーディッシュ”！料亭「香楽」の名古屋コーチン鍋

地元名古屋人に教わる「とっておきの味処」

独自の食文化や、茶の湯文化が発展してきた名古屋には、ここにしかない「名物料理」を味わえる風情ある老舗や、手土産にもぴったりの和菓子屋が揃っています。名古屋を愛する7名の“名古屋人”に美味処を教わりました。

●教えていただいた方
徳川義崇（よしたか）さん（尾張徳川家第22代当主・徳川美術館館長）
早川久右衛門さん（カクキュー社長）

クリス・グレンさん（ラジオＤＪ）
土方邦裕さん（愛知ドビー社長）
長屋良行さん（作家・広告代理店勤務）
有森聡美さん（作詞家）
村上佳菜子さん（プロフィギュアスケーター）

料亭 香楽（主税町）

初代主人が考案したという名古屋コーチン鍋。

早川久右衛門さん（カクキュー社長）推薦

創業以来90年守り続ける、八丁味噌仕立ての鶏鍋

中心部にありながら、静かな趣を残す武家屋敷街の一角。創業90年を超える料亭「香楽」の「名古屋コーチン鍋」には、この地の個性がぎゅっと詰まっています。

「八丁味噌をベースにした秘伝の味噌の香ばしいこと！　このお鍋に使う味噌もたれも代々のご主人にしかレシピが伝えられない、まさに一子相伝なのだそうです」（早川さん）。

名古屋コーチンは、平飼いで元気に走り回って育った生後100日前後の若鶏のみを使用。仲居さんが黒々と輝くオリジナルの味噌を鍋のスープに溶き入れると、早くも芳しい香りが室内に広がります。もも肉やたたき、そしてしいたけやねぎなどの野菜が手際よく入れられ、抜群のタイミングで供されていきます。

この料理のために特注した南部鉄器の厚手の鍋で、じんわりと火の入った名古屋コーチンのなんと味わい深いこと。締めはもちろんきしめんで。まさに“名古屋のシグネチャーディッシュ”ともいえる逸品です。

左・鍋の具は名古屋コーチンのもも肉、首皮などのたたき、きも、ハツ、砂ぎも、腹卵と季節の野菜。岡崎の八丁味噌の味わいを生かした秘伝の味噌仕立て。右・料理長の小久保幸生さんによる、さよりやうるい、一寸豆などの向付とあいなめの椀。

江戸末期の武家屋敷の佇まいを残した座敷で、歴史に想いを馳せながらゆっくりとくつろいで。