新しい豆から、淹れ方、アレンジまで 進化するコーヒーの楽しみ 第2回(全4回) 世界第4位のコーヒー消費量を誇る「コーヒー好き」の国・日本。身近な飲み物であるコーヒーが近年、進化・多様化しています。個性ある豆が現れ、精製や焙煎の技術も向上。クオリティの高いコーヒーに出合う機会が増えています。そんな今だからこそ知りたいプロの淹れ方や、新しいコーヒーの楽しみ方をご紹介します。
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粕谷 哲(かすや・てつ)2012年、1型糖尿病を発病。入院中にハンドドリップを始める。13年、バリスタ活動を開始。16年、ワールドブリュワーズカップ2016でアジア人初の優勝。現在、国内外のセミナーにて講師やファミリーマートのコーヒー監修などを務める。
苦いだけではないコーヒーの魅力。世界チャンピオンに教わる本当においしいコーヒーの淹れ方
一口に “コーヒーを淹れる” といっても、その方法はさまざま。
今回は自宅でも挑戦しやすいペーパードリップで、コーヒーのおいしさを最大限に引き出す淹れ方を教えていただきます。
「初めて自分で淹れたコーヒーがあまりにまずくて、なぜおいしくならなかったのだろうと疑問に思ったのが始まりです」と話すのは、機械を使わずに淹れるブラックコーヒーのおいしさを競う大会で世界チャンピオンとなった粕谷哲さんです。
量と時間を正確に測ることで、プロの味わいを誰でも簡単に再現できる淹れ方、「4(ヨン):6(ロク)メソッド」を考案。職人技を競っていた業界に革新をもたらしました。
無駄のない所作で驚くほど豊かな香りと豆本来の味わいを引き出す粕谷さんですが、忙しいときには手軽なティーバッグ型コーヒーを飲むこともあるのだそう。
自宅で楽しむならおいしさだけにこだわらないで、と話します。
「コーヒーを淹れる時間は自分と向き合う時間でもあると思います。“こうしなくては” と囚われすぎず、味を探りながら自分の好みを知るきっかけにしてください。うまくいかなかったとしてもよい時間になるはずです」。
まずはコーヒーを淹れるゆとりある時間を大切にすることで、コーヒーの新たな魅力に出会えるでしょう。
これさえあれば大丈夫。粕谷さんおすすめの道具
大切なのはキッチンやインテリアに合う道具を選ぶこと。眺めて、使って気分がよくなるものを探しましょう。
右・ドリッパーとサーバーお気に入りは円錐型のハリオ「V60シリーズ」。台形のもののように湯が底に溜まることなく、大きな一つの穴から落ちていくので、注ぐスピードで抽出の速さを調整しやすい。
中上・コーヒーミル世界の一流バリスタが使うのは微粉が出づらい「コマンダンテ」のミル。1万円以上のミルが用意できない場合は、2~3週間で飲みきれる量をお店で挽いてもらうのがおすすめ。
中下・スケール粕谷式に欠かせないアイテム。ハリオの「V60ドリップスケール」は画面表示で重さと抽出時間が管理できる優れもの。なければ家庭用のはかりとタイマーなどで代用できる。
左・細口ケトル粉に均等に湯を行き渡らせるためには細口ケトルが必須。湯量の調整もしやすい。粕谷さんは湯沸かし用のケトルとは別に、さらに小型のハリオの「ミニドリップケトル」を愛用。