石川・富山・ 福井「北陸」三都物語 第4回(全23回) 2024年に新幹線でつながる北陸3県は、その地の文化を発信する新たなスポットが次々と誕生し、今、最も注目を集めるエリアです。アート、伝統工芸、日本酒や美食処など、魅力溢れる夏の北陸をご案内します。
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シグネチャーディッシュ「畑」。多様な調理法を用い、塩とヴィネガーで調味された80種以上の地の野菜、野草や花、ハーブ。暮れゆく内湾の景色とともに味わう能登イタリアン
「山に入ると野草の美しい姿に心を打たれます。それをできるだけそのまま、お皿の上に丁寧に再現したい」。目の前の海、自然の風景に勝るものはない、せめてそれらの邪魔にならない料理を作りたいと考える「ヴィラ・デラ・パーチェ」のオーナーシェフ・平田明珠さん。
生まれも育ちも東京の平田さんが、食材探しの旅で訪れた能登の自然と生産者に惹かれ、七尾市の山手にイタリア料理店を開いたのが2016年。その後、七尾湾西側の浜辺にかつては海の家として使われていた建物と出会い、レストランとして改修。宿泊スペースを新築して今に至ります。
「魚介はもちろん鴨や猪、果物など、使いたい食材のほとんどが能登、少し広げて石川県内で揃います。野草や山菜、きのこは自分たちで採るので、シーズンは大忙しですが、それがまた喜び。使う食材の数が毎年増えて、今ではもう数えられないほどです」。
自然への深い愛情とリスペクトを凝縮させ、美しい姿で供される料理の数々。食後の潮風がコースの締めくくりになるような一軒です。
コンクリートや電線が視界を遮らない茅萱の浜と穏やかな内海。コチ、ミシマオコゼ、赤西貝、天然クレソンのグリーンソースで和えたもち麦のカッポン・マーグロ。イタリアの郷土料理を能登の食材で香りよく、複雑な味わいに仕立てた。アンチョビの代わりに地元産のいしり(魚醤)を使った、稚鮎とたたき蕨のスパゲッティーニ アーリオ・オーリオ。平田明珠シェフ(左)とソムリエの塩士卓也さん。塩士さんはシェフの料理哲学を深く理解し、料理の説明やワインのセレクト、軽妙なトークでお客さまをおもてなしする。 Information
ヴィラ・デラ・パーチェ
石川県七尾市中島町塩津乙は部26-1
- 要予約 コース1万8000円 宿泊は1室2名利用で1泊2食付き1名3万8500円
撮影/本誌・坂本正行 取材・文/柳 ゆう 協力/石川県観光連盟 料理内容などは諸般の事情により変更になることがあります。掲載の料金には別途サービス料等がかかる場合があります。
『家庭画報』2023年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。