子どもたちが巣立った、大人だけの暮らし。材料を無駄にすることなく、時間も手間もできるだけかけずに、その日の気分にあった出来立てを食べたい──。料理研究家の上田淳子さんが、自身の経験をもとにまとめた1冊『フランスの台所から学ぶ 大人のミニマルレシピ』(世界文化社)が話題です。上田さんによれば、ミニマルレシピのお手本は、修業時代に出合ったフランスの台所にあるそう。本書から一部を抜粋してお届けします。 記事の最後には
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ミニマルレシピで叶う、自分が愉しむための食事
文/上田淳子(料理研究家)
私事ですが双子の息子たちが独立して夫婦二人の生活に戻り、食事に対するスタンスが変わってきました。子どもの成長期には栄養バランスを考えたり、白飯がすすむおかずを飽きないように和洋中変化をつけたりなど、家族のために食事を作ってきました。
仕事をしながら日々の食事やお弁当を作るのは大変でしたが、作りがいがあったことも確かです。家族の「おいしい」のひと言が毎日の原動力でもありました。
そして26年ぶりに大人だけの食事に戻りました。夫は仕事がら家で食事をすることが少なく、一人ごはんの日が増えました。最初は自分好みに作れることが新鮮でうれしかったのですが、だんだん面倒に感じるように。食材を使い切れないことも多く、家族の食事を作っていた頃とのギャップにとまどいました。
作らずにテイクアウトや取り寄せをストックという手もありますが、毎日では飽きてしまいますし、できればその日の気分に合った出来立ての料理が食べたい。そんな思いを経て、今の私にしっくりくるのは、気負わず作れる「フランス的なごはん」です。
パパっとおいしい食事を作るフランスマダムたち
ふと思い出すのが、若い頃に現地で知り合ったフランスマダムたち。おしゃべりをしながら、パパッと軽やかに食事を作ってくれました。レシピを見ることも量ることもないのに、おいしく味が決まっていました。
その秘密は簡単なレシピをくり返し作るというシンプルなもの。つまりふだんの食事を気負わずとびきりおいしく作るには、必要最低限ミニマルなレシピでなくては! 当時はそこまで考えが及びませんでしたが、一人ご飯をきっかけにフランスマダムの食事が非常に合理的だったことに気がつきました。
そこで彼女たちの手法を取り入れ、食材や調味料が少なく、だしもスープも不要で、工程が簡単なミニマルレシピをここ日本で考えてみました。
私たちが作りやすいことが大切ですから、いわゆるフランス料理ではなく、なじみのある日本の食材を使った“フランス的な”料理です。作り慣れればレシピも不要です。
ふだんの食事は贅沢なものや手の込んだものではなく、身近な素材をその日の気分に合うように料理し(もちろん和食や中華の日もあるでしょう)、さらに出来立てがいい。家族の食事を卒業したら、このミニマルレシピで自分のための食事を愉しんでいただけたらうれしいです。
ミニマルレシピ「ポークソテー トマトとバジルのソース」
フランス料理ではありませんが、豚ロース肉を焼いただけのポークソテーは作りやすさとおいしさで人気のメニューです。
さまざまな調味料を駆使したこってりとしたソースもおいしいのですが、野菜をサラダまたはソテーにして添え、それをソース代わりにすると、豚肉そのものの味と、野菜と一緒に口にしたときの味の両方が愉しめます。
ここで紹介する「ポークソテー トマトとバジルのソース」では、ポークソテーを焼いている間に、フレッシュトマトを切って和えるだけのソースが作れます。フレッシュトマトの爽やかな酸味と甘みが豚肉にぴったりの一品です。
焼くだけなのでコツも何もありませんが、必ず筋切りをしてください。そのまま焼くと焼き縮んで均一に火を通せず固くなってしまいます。
材料(1人分)豚ロース肉(ステーキ用)……1枚(100~120g)
トマト(1cm角に切る)……中1個
バジルの葉……4枚 ※大葉や万能ねぎでも
オリーブ油……大さじ1弱
塩、こしょう……各適量
作り方1. 豚ロース肉は常温にもどす(冷蔵庫から出して15分ほどおく)。ボウルにトマトを入れ、バジルの葉をちぎり入れる。塩ひとつまみ、こしょう少量、オリーブ油大さじ1/2を加えて和える。
※このレシピのひとつまみ(三本指でしっかりつまむ)は0.5g
2. 1の豚肉の筋を両面から切り、塩ふたつまみ、こしょう少量をすり込む。
3. フライパンにオリーブ油小さじ1を熱し、2を中火で焼く。片面2分半~3分焼いてこんがり焼き色をつける。皿に1のソースを盛り、肉をのせる。
フランスの台所から学ぶ 大人のミニマルレシピ
発売即重版決定!「ミニマルレシピ」で食事はもっとラクに、楽しくフランス人は、材料、調理方法、道具などがミニマルで、素材をシンプルに調理するのが上手。だから、食事作りに苦痛を伴いません。作り置きも献立も不要、道具はひとつあれば十分、味つけは“塩だけ”など、ヨーロッパでの修業経験から料理家として活躍している上田淳子さんならではの視点で、ミニマルレシピを紹介。この1冊があれば、レシピ不要でささっと料理が作れるようになります。
上田淳子著
1870円/世界文化社
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