「食は広州にあり」(広州:広東省の中心地)といわれ、食にこだわる広東人が多く住む香港は、食に対する意識が高い土地。世界中の美食家たちを惹きつけて止まないこの街で、今、注目のレストランやホテルをめぐる旅を集中連載でお届けします。
1963年に香港島初の
近代的なホテルとして開業した「マンダリン オリエンタル 香港」は、世界各地に展開しているマンダリン オリエンタル ホテルグループのフラッグシップホテル。54年という長きにわたり、多くのセレブリティから愛され、華やかな歴史を刻んできました。
クリュッグと創作料理の競演
ホテル内には10軒のレストランやバーがありますが、その中の3軒がミシュランの星を持つということからも、食のレベルの高さをうかがうことができます。中でも注目なのが「ザ・クリュッグ ルーム」。“至高のシャンパン”と世界が認めるクリュッグと、アーティスティックな創作料理とのマリアージュを目当てに、世界中から食通たちが訪れます。
今回のコースの中で用意されているクリュッグは3杯。人々を魅了する最高峰のシャンパンを存分に楽しめるコースとなっている。
クリュッグと美食を味わい尽くす旅は、著名な画家ジェラール・D'A・ヘンダーソン作の壁画に囲まれた優雅なウェイティングスペースから始まります。「ザ・クリュッグ ルーム」が位置しているのは、予約客のための、まさに隠れ家のような場所。案内に従って、90年代まではジェントルマンズクラブだった伝統的な英国スタイルのバー「ザ・チネリー」の店内を通って厨房へと通じる扉を開け、足元のキャンドルの灯りを頼りに通路を歩いていくうちに、おのずと胸が高鳴ります。