東京、北海道、金沢、大阪、福岡ほか 名店の「昼膳」 第2回(全18回) 桜の便りとともに、本誌の人気特集、「昼膳」の最新版が完成しました。編集部が日本全国より厳選した名店の数々をご紹介。ぜひ長くご活用ください。
前回の記事はこちら>> 【銀座 小十】(銀座)
春たけなわ、美味の贅を華やかに
桜鯛と新若布のしゃぶしゃぶ。だしの中で鮮やかな緑色に染まった食感のいい新わかめと、脂ののった桜鯛をちり酢でいただく。円熟の技に冴える遊び心
2003年に銀座に店を構えて以来、季節の食材を大胆かつ斬新に切り取る美しい料理で、数多の人々を魅了してきた日本料理の名店「銀座 小十」。
ご主人の奥田 透さんは日本料理を世界に広めるべく、東京をはじめ、パリ、ニューヨークにも店を展開。農林水産省・日本食普及の親善大使としても活躍している。ご主人の奥田 透さんは、近年、贅を尽くした料理はそのままに、量を控えて品数を増やし、日本の五節句を八寸に写すなど、献立の再構築を通して新しい日本料理の世界を切り拓いています。
春の特別昼膳にも、そうした創意工夫の冴えがひときわ鮮やかに。
一見、シンプルな春巻きの中には、のりに包まれた小柱、うに、木の芽、ふきのとうが入る。一瞬にして口中に春の香りが広がる贅を楽しむ。
「本来、暖かくなって生物が活動を始め、植物が芽吹く春こそが1年の始まりです。陸では春野菜や筍など苦みのあるものが、海の中では二枚貝が旬を迎えます。貝のミネラルも植物の苦みも人間の体に必要なもの。
桜が咲く頃には、それらの食材が旬を迎えます。色合いも、モノトーンから華やかで明るいものへ。そんな春の歓びを存分に味わっていただきたいと思います」
春のとり貝、みる貝、平貝に、菜の花、こごみ、うるい、たらの芽の春菜を盛り込んだつきだし。鮮烈な春の息吹きを味わう。二枚貝の器に盛り込まれたつきだしには、奥田さんのスペシャリテである春菜の盛り合わせを生姜のきいたりんご酢のゼリーで。
「白アスパラすり流し」。中に忍ばせた毛蟹とホワイトアスパラガスのうまみをストレートに感じられる一品。ほかにも深い余韻を残す「春巻き」や、余分なものを削ぎ落とした「桜鯛 新若布 しゃぶしゃぶ」、尾形光琳由来の遊び心溢れる「光琳の花見おにぎり」など、円熟味を増した料理が膳を彩ります。
バカラのワイングラスにたっぷり盛られた苺尽くしのシャーベットにはロゼ・スプマンテを。締めの食事には、竹皮に金箔を張った“光琳笹”の上に、うすい豆と桜海老、あさりとふき、2種の炊き込みご飯のおにぎりをのせて。眺めるだけで花見気分に。銀座 小十(ぎんざ こじゅう)住所:東京都中央区銀座5-4-8 カリオカビル4階
TEL:03(6215)9544
営業時間:12時~13時(LO)、18時~21時30分(LO)
定休日:日曜(祝日不定休)
昼コース2万円、夜コース3万円。
写真は「家庭画報 特別昼膳」より。座敷1室(6名)、個室2室(各4名)
「家庭画報・春の特別昼膳」のご案内
2020年4月1日~25日
2万5000円(ドリンク別)
※前日までに要予約
特別昼膳 献立
付き出し
・白アスパラすり流し
・毛蟹
・桜香寒天とり貝
・とり貝
・平貝
・春菜
・生姜酢ゼリー
お椀
・油目
・よもぎ豆腐
・針独活
・木の芽
造り
・針魚
・ボタン海老
揚物
・小柱
・雲丹
・木の芽
・蕗の薹
・春巻き
焼物
・太刀魚塩焼き
・苦味野菜
強肴
・和牛炙り焼
・筍の子
鍋
・桜鯛
・新若布 しゃぶしゃぶ
食事
・光琳の花見おにぎり
デザート
・苺シャーベット ロゼ・スプマンテ
※内容は仕入れ状況により多少変わる可能性があります。
●和食の記事一覧はこちら●「銀座 小十」奥田 透さんに教わるプロのぬか漬け 表示価格はすべて税抜きです。
撮影/鈴木一彦 取材・文/瀬川 慧
※価格には別途サービス料や個室料金がかかる場合がございます。
※特集内でご紹介した料理は、食材調達の都合で変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。
『家庭画報』2020年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。