【第2章】
日本全国「今、行きたい」話題の味
日々おいしいものにアンテナを張っているかた同士が「あのお店、もう行かれました?」と話題にする料理店は、地方にもたくさんあります。
花便りが届く春、ちょっと足を延ばして旅気分とともに味わう、昼膳処にご案内します。
ゆでた伊勢海老の身に素焼きの煎餅を砕いたころもをつけて揚げた「三重の伊勢海老と八ヶ岳野菜達」には野菜のソースが合う。今回はカリフラワー。八ヶ岳3つ星シェフの新天地を訪ねて
【八ヶ岳 えさき】(山梨・北杜市)日本料理
春を待つ高原で、実力派シェフを独り占めする贅沢
名料理人・江﨑新太郎さんの昼膳を楽しむ、料理研究家の馬場香織さん(左)とお嬢さんの水谷景子さん。白樺林に囲まれた開放的な空間も「八ヶ岳えさき」の魅力の1つ。プチトリップのお目当ては高原の昼膳
[訪ねる人]馬場香織さん(料理研究家)水谷景子さん母娘
「鮑の何て柔らかいこと! このお料理からコースが始まるんですね」。家庭画報本誌でもおなじみの料理研究家・馬場香織さんの最初の感激は、「蝦夷鮑 彩り春野菜のサラダ仕立て」。
魚介は東京・豊洲市場から取り寄せる。本日は「青森平目と宮城の赤貝、北海道のうにのお造り」。「皆さん、おなかを空かせていらっしゃるでしょう? だから前菜はボリュームがあって意外性もある食材で始めています」。そうおっしゃるのは「八ヶ岳 えさき」のご主人・江﨑新太郎さん。
ミシュラン3つ星を7年続けて獲得した「青山えさき」を閉め、八ヶ岳に店を移して2年。
オープンキッチンで江﨑さんが料理をする様子を見ながらいただくコースは、個人宅に招かれたような特別感です。
お客さまの来店するタイミングに合わせて炭を熾す。「山口県産ののどぐろの炭火焼き」も人気献立の1つ。使用する魚介は全国各地から厳選。野菜も地の物限定ではありませんが、今回、お2人の心をとりわけとらえたのは、八ヶ岳産野菜を使った2品。
「『三重の伊勢海老と八ヶ岳野菜達』のカリフラワーソースのあまりのおいしさにびっくり」(水谷さん)、そして「にんじんの甘みを帯びた柔らかさが奥深く広がるよう」と馬場さんが感じ入ったのは、「京都の海老芋と大塚人参の揚げ物」。
主宰する料理サロンが大人気の料理研究家・馬場香織さん(右)。お嬢さんの水谷景子さんは、サロン運営の頼もしきパートナーであり相談相手でもある。「やはり野菜は鮮度だと、ここに来て実感しました」と江﨑さんと話しながら食事ができるのも、この店ならでは。和やかに流れる時間もご馳走に華を添えます。
高原に建つ一軒家はJR小淵沢駅から車で20分ほど。八ヶ岳 えさき(やつがたけえさき)住所:山梨県北杜市大泉町谷戸5771-210
TEL:0551(45)8707(営業時間中は電話に出られない場合があり)
営業時間:12時~13時(LO)、18時~20時30分(LO)
定休日:水曜、木曜
URL:
https://esaki-yatsugatake.com/昼、夜ともにおまかせ1万8000円のみ。昼夜とも各1組(~6名)※2日前までに要予約