京都&パリ ひみつの美味案内 世界の食都、京都&パリ。地元のグルメな方々に、現地に暮らすからこそ知っているおすすめの美味をこっそり教えていただきます。
記事一覧はこちら>> ※新型コロナウイルスの影響により、営業時間に変更が生じたり休店する場合があります。最新の営業状況は、お店の公式ホームページ等からお確かめください。 【4月の美味案内】
春を愛でる。
季節限定のお菓子
(取材・文/西村晶子)
ご紹介する「大極殿本舗(だいごくでんほんぽ)」の「琥珀流し」は、甘味好きの間ではつとに有名な月替わりの寒天スイーツです。高倉通にある本店と六角店それぞれに付設する甘味処で味わえるのですが、実は店ごとに内容が異なるのです。
今回は2019年夏にリニューアルオープンした本店の4月、5月の琥珀流しに注目。さらに創業時からの銘菓で、お取り寄せ可能なのも嬉しい「カステーラ」もご紹介します。
蜂蜜の上品な甘みをきかせた、高倉本店の4月の琥珀流し。六角店の4月の琥珀流しは桜と小豆。ともに750円。4月の琥珀流しは“蜂蜜と花”。上品な甘みと愛らしさを味わって
「琥珀流し」の誕生は、六角店の一画に甘味処「栖園(せいえん)」を設けたのがきっかけ。オリジナル甘味にこだわり、試行錯誤の末、やわらかな“ふわとろ”の寒天スイーツが生まれました。さらに季節の気配を感じてもらいたいと、春は華やかに、夏はすっきり涼しげに、秋は柿や栗を使い、冬はまったり……と、月ごとにシロップや食材を変えています。
食用の生花とカラフルなゼリー、ミントが入っており、春の風情たっぷり。4月の琥珀流しは花をトッピングした蜂蜜味。アカシヤベースの蜂蜜をシロップに使い、ミントで爽やかさ、花で愛らしさを誘う、春ならではの一品です。
レモンか生クリームをトッピングして味わう、5月の紅茶味の琥珀流し。六角店は抹茶と小豆の琥珀流し。ともに750円。5月の「紅茶」はミルクやレモンと合わせて。クッキーとともに、洋風に
5月の琥珀流しは、セイロンティーのシロップをかけた紅茶味で、自家製のクッキーが別に添えられています。クリームかレモンを選んでミルクティーやレモンティーのように味わう、新緑の季節にぴったりの後味のよい甘さです。
口当たりなめらかな寒天はゆるめに固めただけでなく、シロップがよくなじむように手でそっと割っているとのこと。一緒に出されるお茶にもこだわり、香ばしさが際立つように玄米茶とかりがね茶をブレンド。夏はお茶の代わりにサイダーが添えられることもあります。
今回は春の琥珀流しをご紹介しましたが、毎月違う味が本店と六角店で楽しめます。今すぐは無理でも、次の京都旅の時にぜひ味わってみてください。
「春庭良(カステーラ)」はハーフサイズからあり、粒あん入りもある。594円~。取り寄せて楽しみたい、素朴で懐かしい味わいの「カステーラ」
お土産やお取り寄せにおすすめの「春庭良(カステーラ)」は、創業以来の銘菓です。昔は貴重であった卵をたっぷりと使っているため、京都の人にとってはお客様のおもてなしや手土産に欠かせない特別な存在のお菓子だったとか。
ふわふわのきめ細やかな甘い生地に底のザラメの食感がアクセントとなり、懐かしさもあってホッとする味です。日本茶にもコーヒーや紅茶にも合い、心和らぐおやつにぴったり。名前の「春庭良」に春を感じながら、自宅で味わってみてはいかがでしょう。
店の奥にある甘味処「栖園」。四条烏丸に近く、街中の散策途中に訪れるのに便利な立地。改装後も以前の店で使っていた看板などを置く、趣ある販売スペース。1885(明治18)年創業の老舗和菓子店。高倉通にある本店の近くに六角店も。大極殿本舗高倉本店 栖園
京都市中京区高倉通四条上る東側帯屋町590
電話 075-221-3533
営業時間 10時~17時(販売は9時30分~18時30分)
定休日 水曜
「#和菓子」の記事一覧はこちら「#京都」の記事一覧はこちら 西村晶子/Shoko Nishimura
関西を拠点に、京都の食や文化、人、旅を幅広く取材、編集。長年、『家庭画報』の京都企画を担当し、さまざまな記事を執筆。最近の書籍の仕事に『
旨し、うるわし、京都ぐらし』(大原千鶴著)がある。
表示価格はすべて税込みです。 撮影/内藤貞保