京都&パリ ひみつの美味案内 世界の食都、京都&パリ。地元のグルメな方々に、現地に暮らすからこそ知っているおすすめの美味をこっそり教えていただきます。
記事一覧はこちら>> ※新型コロナウイルスの影響により、営業時間等に変更が生じる場合があります。最新の営業状況は、お店の公式ホームページ等からお確かめください。 【6月の美味案内】
京都の美味をお取り寄せ
(取材・文/西村晶子)
桂離宮の南、山陰街道に面した明治16(1883)年創業の「中村軒」。四季折々のお菓子を販売し、4月末から店頭に並ぶ「ちまき」や「柏餅」は、6月中頃(予定)まで楽しめます。今回は、創業以来の人気菓子の「六方焼」をはじめ、「三笠」「きんつば」といったお取り寄せ可能なお菓子もご紹介します。
節句菓子「ちまき」と「柏餅」。餡にこだわった節句菓子「ちまき」「柏餅」
中村軒が守り続けているのは「懐かしい昔の味、あっさりしたおいしさ」。北海道産の小豆、備中白小豆などの厳選した素材を使い、昔ながらのおくどさん(かまど)でくぬぎの割り木を燃やし、手間をかけて餡(あん)を炊いています。
こし餡入りの「柏餅」。ほかに薄抹茶の生地でつぶ餡、ピンク色の生地で白味噌餡を包んだ柏餅がある。1個230円(店頭販売のみ)。看板菓子は、粒餡を白いお餅で包んだ「麦代餅(むぎてもち)」ですが、季節を感じられるお菓子も人気です。4月末から販売される「柏餅」は、もっちりとした生地と餡の甘みが絶妙です。3種類あって、できたての3色のしんこ餅で粒餡、こし餡、白味噌餡を包んでいます。
特上の粉で作るお団子を笹で包んだ「ちまき」は、端午の節句に欠かせないお菓子。ちまき特有の粘りがあるのに歯や手につかない、独特の食感。1個330円(店頭販売のみ)。「ちまき」は、コシのあるお団子を丹念に笹で包んだお菓子。しこしこと歯ごたえがよく、上品な甘みに笹の香りが感じられる懐かしい味わいです。6月からは少しずつ夏の菓子に替わり、口あたりのよい葛を使った、京都の夏になくてはならないお菓子「水無月」が登場します。
130年間ずっと人気の「六方焼」は、こし餡(白ごま付き)、粒餡(黒ごま付き)の2種類。各1個260円。お取り寄せで味わえる、こだわりの餡たっぷりの“おまん”いろいろ
京都の和菓子には、注文で作る菓子とは別に、“おまん”と呼ばれる普段使いのお饅頭や餅菓子、焼き菓子などがあります。茶店風のしつらえの中村軒の店頭にいつも並ぶ「きんつば」も、そんなおまんのひとつです。
職人さんが1個ずつていねいに手焼きしている「きんつば」と「白きんつば」。各1個260円。丹波大納言と北海道産大粒小豆を合わせた自慢の粒餡をたっぷり使い、極上の糸寒天で固め、国麦(こくばく)と呼ばれる皮をつけて焼き上げています。備中白小豆の白餡の「白きんつば」もあり、2つの味が楽しめる2種の詰め合わせが人気だそうです。
つやつやの粒餡入りのきんつばと、白餡の美味しさを知ってもらいたくて、と作られるようになった白きんつば。お中元などの進物に人気の詰め合わせは8個入りから。化粧箱入り10個入り2750円。創業以来人気の「六方焼」は、卵と蜂蜜を使った甘い生地の焼き菓子。こんがり焼いた生地の中はこし餡とつぶ餡があって、昔の懐かしい味を今にとどめています。どちらも日持ちするので、進物やお土産におすすめです。
「みかさ」も「六方焼」や「きんつば」との詰め合わせ可能。1個260円。同じく焼き菓子の「みかさ」は見てのとおりのボリューム。粒餡をふわっとした焼き生地で挟んだ、やさしい甘さの半生菓子です。
看板菓子の「麦代餅」(店頭販売のみ)。昔も今も変わらぬ製法で味を守っている。山陰街道筋の饅頭屋として創業し、昔ながらの餡づくりと素朴な味を130余年守る。店の奥に茶店を併設(現在は営業休止中)。6月よりかき氷とあんみつのテイクアウトがスタート。御菓子司 中村軒
京都府京都市西京区桂浅原町61
電話 075-381-2650
営業時間 7時30分~18時 茶店は9時30分~17時45分(LO)
定休日 水曜(祝日は営業)
※「ちまき」「柏餅」の販売は6月中頃まで(予定)。
「#和菓子」の記事一覧はこちら「#京都」の記事一覧はこちら 西村晶子/Shoko Nishimura
関西を拠点に、京都の食や文化、人、旅を幅広く取材、編集。長年、『家庭画報』の京都企画を担当し、さまざまな記事を執筆。最近の書籍の仕事に『
旨し、うるわし、京都ぐらし』(大原千鶴著)がある。
表示価格はすべて税込みです。 撮影/内藤貞保