「練(ね)り切り」とは、水分を飛ばした餡に、求肥を加えて練りこんだ生地のことです。この生地を使って出来上がった和菓子も練り切りと呼ばれます。
でき上がりが粘土のようにしっかりとして形作りやすく、また色も自由に染めることができるので、古典的な意匠から新感覚のデザインまで、自由に作ることができるのが練り切りの面白さです。
この練り切りを使い、目にも涼やかな「青梅」の作り方をご紹介します。
作り方を教えてくださったのは、清 真知子(きよし・まちこ)さん。茶道裏千家教授の資格を持ち、兵庫県明石市で茶道と和菓子の教室「さろん閑遊」を主宰しています。
(1)6月の練り切りの主菓子「青梅」
初夏の訪れを告げる青梅のぽってりとした形を緑に染めた練り切りで表現しました。そのシンプルな形は、三角ベラと箸、指先から生まれます。
【材料(12個分)】
・A[白餡400g 水大さじ2~3]
・求肥 40g(作り方は下記の【準備】参照)
・食紅(緑) 適宜
・白餡 240g
※白餡は市販のものがありますが、手作りするとまた格別のおいしさです。作り方は
こちら>>【準備】
求肥を作る。(出来上がりの分量は200g前後)
ボウルに白玉粉50gを入れ、水100gを少量ずつ加えてよく溶かし、漉(こ)しながら鍋に移す。鍋を弱火にかけ、常に鍋底から混ぜながら練る。ふるった上白糖100gを3~4回に分けて加え、その都度餅(もち)状に練る。練り上がったら片栗粉を広げたバットに流し、表面にも片栗粉を振る。少し冷めてから1~2cm角に切り分ける。
【作り方】
(1)鍋にAを入れて弱火にかけ、焦がさないようにヘラで練り、鍋肌に餡を貼り付け、水分を飛ばす。
(2)はがす→混ぜる→貼り付ける、の作業を繰り返す。白っぽくなり、指で触って餡がつかなくなるまで水分を飛ばす(=火取る)。
(3)切り分けた求肥を2~3回に分けて加え、その都度、求肥が見えなくなるまでよく練り合わす。
ポイント◆餡の水分が十分に飛んでいない状態で求肥を加えると形にならず、飛ばしすぎた状態で加えるとパサパサになる。(4)乾いた厚手の布巾(ふきん)の上に漉し器を置き、熱いうちに生地を裏漉しする。
ポイント◆固まりやコゲを取り除くため。(5)布巾の上で揉み込むように練り、生地を滑らかにする。
(6)小さくちぎりながら布巾に広げ、熱気を抜く。表面が乾いたらまとめて、再び揉み混ぜる。これを2~3回繰り返す。
(7)生地の中央に緑の食紅を落とす。ざっと手で混ぜたら布巾で均一に揉み混ぜ、12等分する(ひとつ25gくらい)。
(8)白餡を12等分して餡玉を作る。濡れ布巾で手を拭きながら、生地で白餡を包み丸める。
ポイント◆空気を入れないように注意する。(9)頂(いただき)を両の親指で軽く押し上げるようにつまみ出し、梅の実のとがった部分を
作る。
ポイント◆餡を包んだ後の生地が乾燥しないよう、乾いた布巾をかけながら作業する。(10)(9)で作った先端から左斜め下に向かい、三角ベラ(なければバターナイフの背で代用)でゆるやかな曲線を描くように筋を入れる。
(11)筋から少し外した位置に、箸の先で窪みをつくる。
【保存法と日持ち】
常温で保存。作ったその日のうちに食べ切る。ラップを敷いた密閉容器に入れ、冷凍保存も可能。
清 真知子/Machiko Kiyoshi
1960年神戸市に生まれる。83年裏千家学園茶道専門学校卒業。96年神戸市内に、2002年に東京・学芸大学に和菓子教室を開く。現在、茶道裏千家教授、茶道と和菓子の教室「さろん閑遊」を主宰。デモンストレーションと実技で構成される和菓子教室は、季節感溢れる美しい和菓子が初心者でも上手に作れると好評を博している。2014年兵庫県明石市に教室を移転。
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撮影/浮田輝雄