家庭画報のレジェンド・レシピ スパイス香る真夏の「名人カレー」 第7回(全15回) 創刊号から最新号まで、『家庭画報』に掲載された膨大な数の料理レシピの中から、今、改めてお伝えしたいものを編集部が厳選してお届けする「レジェンド・レシピ」。今回は暑い夏に食べたい料理の筆頭格、カレーの名作レシピをお届けします。スパイスづかいやちょっとしたひと手間に、作り手のセンスが光るアイディアが満載。異国情緒たっぷりの「名人カレー」に挑戦して、夏を元気に乗り切りましょう。
前回の記事はこちら シェフが提案するお洒落な逸品
おもてなしのフレンチカレー
市販のカレールーを使わず、フランス料理の食材や手法を使って作るフレンチスタイルのカレーは、カジュアルに楽しむ集いのシーンにぴったりです。ワイン片手に味わいたい、スパイスで香り高く仕上げるお洒落なカレーのレシピをご紹介します。
長尾和子さん(料理家)のアイディア
フレンチの煮込み料理にスパイスを効かせて
スパイシーなスペアリブと野菜ピュレカレー油を使わずに煮込んだ6種類の野菜のピュレを、スパイシーなカレー仕立てに。爽やかなスパイスの香りとともに、野菜の滋味が口の中に広がる。スペアリブとハーブライスにたっぷりかけて食卓へ。 ディナープレート、ピッチャー/デニオ総合研究所 テーブルスプーン、テーブルフォーク、ナイフ/クリストフル青山本店 テーブルクロス、ナプキン/麻平 シャンパングラス、タンブラー/スガハラショップ青山本店「滋養たっぷりの煮込みは暑い夏にこそおすすめしたい料理です。スパイスを程よく効かせたカレー仕立てにすると食欲も増しますし、いつもと違うエキゾチックなテイストが加わって、おもてなしの席でも喜んでいただけます」と、煮込み料理をスパイシーに仕立てたフランス風のカレーを提案してくれたのは長尾和子さんです。
素材の持ち味を際立たせる料理を旨とする長尾さんのスパイスづかいはいたってシンプル。パウダー状の5種のみを使い分け、基本的に仕上げの段階で加えます。大切なのは、調合したスパイスを鍋でからいりして風味を強めてから使うこと。さらに、主役となる具材のうまみや食感を生かすため、煮込みすぎないこともおいしく作る秘訣です。
5種のスパイスで本格味に
1.クミンカレーの風味づけの基礎となるスパイス。「パンチのある風味が魅力。トリッパの煮込みやチリコンカンにもよく使います」。
2.ピメント・エスペレット(もしくはカイエンペッパー)深いうまみのあるバスク地方の唐辛子。カイエンペッパーとお好みで使い分ける。「生臭さを抑えるために下ごしらえに使うことも。より辛さを効かせたいときはカイエンペッパーを選びます」。
3.コリアンダークミンと同様にカレーの風味づけの基礎に。「爽やかで甘い香りがします。クミンとの相性が特にいいですね」。
4.ターメリック食欲をそそるカレーらしい色づけに。「少量でも鮮やかな色がつきます。加えすぎは料理の風味を損ねるので注意」。
5.カルダモンすっとした爽やかな香りが特徴。「白身の魚や肉料理を爽やかに引き締めてくれる効果があります」。
長尾和子さん
(ながお・かずこ)1970年代に渡仏し、フランス料理の研鑽を積む。帰国後レストランを開き、日本における女性フレンチシェフの草分け的存在として注目される。芯の通った味の表現は、幅広い層のファンに愛されてきた。2019年惜しまれつつ「マリー・クロード」を休店し、現在は料理教室等で活躍中。
※2013年8月号「フレンチカレーで夏のおもてなし」より。