「四国の魅力」を味わう 第9回(全18回) 四方を海に囲まれ、自然の恵みが溢れる四国。秋には山海の幸が旬を迎えます。瀬戸内の美しい景色とともに、土地の食材を味わえる名店の料理、ご自宅で作れるレシピ、お取り寄せ情報をお届けします。
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長男・琥珀くんと2人で買い物かごを提げて市を巡る、「ラ プリマ ヴォルタ」のオーナーシェフ、諏訪恵治さん。朝9時過ぎには買い物客で賑わい始める。野菜の店の隣に茶の店があったり、陶器の店があったり、その混在ぶりがかえって活気を生んでいる。高知の名物の1つが日曜市です。高知城の追手門から東に伸びる追手筋で約1キロにわたり、テント張りの店が軒を連ねます。店頭に並ぶ商品の種類が豊富なうえ生鮮品は新鮮で安いとあって、多くの市民が買い物に訪れます。
いま高知ではイタリアンが活況ですが、なかでも人気が高いのが諏訪恵治さんがオーナーシェフを務める「ラ プリマ ヴォルタ」。その諏訪さんも店が日曜市の東端に近いことからほぼ毎週、市を訪れます。
日曜市には約400もの店が軒を並べ、市民と観光客で1日およそ1万7000人が訪れるという。左・「リュウキュウ」と呼ばれるはすいも。右・オクラもサイズがこれほど揃う店はまれ。地元の新鮮な野菜や果物、干物などはもとより、金物、打ち刃物、植木なども売られていて、その多種多様さに驚かされる。「沖ウルメ」の名で親しまれているニギスほかの干物が並ぶ。右・柚子の搾り酢。左・しょうがの味がきいた冷やし飴は夏の風物詩。この日は小学2年生の長男・琥珀くんも同道。まずは市の東端から西端までを一度歩いて下見をし、引き返しがてら気になるものを買い込むのが諏訪さん流です。なじみの店も多く、挨拶の声が飛び交います。
お目当てのじゃがいも、カラーにんじん、葉つきの柑橘、地産のはちみつなどを買い込んで、かごは次第に重くなりました。この食材がどのようにイタリアンに生まれ変わるのか。諏訪さんの頭の中ではすでに調理も盛りつけも始まっているのかもしれません。
土佐打ち刃物も定番の商品。諏訪さんは日曜市では野菜といも類、ハーブなどを中心に、何軒かのなじみの店で購入する。小さいカラーにんじんは葉も生で食べられ、サラダなどに重宝。手前の四角豆は断面が四角いさや豆。かすかな苦みとシャキシャキとした爽やかな食感が楽しめる。葉つきの青みかんは「酢みかん」「ぶしゅかん」などと呼ばれる柑橘で、搾って料理にかけるほか、瓶詰めの搾り酢も広く利用されている。