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さらっとした本格おかゆこそご自宅で。炊き上がり3分以内がおいしさのピークです

2021.08.10

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

本当においしいかゆ、青じその醤油漬け添え


本当においしいかゆ、青じその醤油漬け添え

真夏にどうしておかゆ? そんな声が聞こえてきそうですが、食欲がない夏の朝、クーラーが効いた部屋で、お米から丁寧に炊いたおかゆを召し上がってみませんか。これまで抱いていたおかゆの印象が大きく変わるはずです。

おかゆのイメージといえば、病気のときに母が気遣って炊いてくれたという思い出や、朝食バイキングの片隅で保温器に入っているもの、禅寺の体験座禅での食事というところでしょうか。


おかゆに対してあまりいい印象がないという方は、本当においしいおかゆに出会っていないのかもしれません。冷やご飯に水を加えてグツグツ炊いたものは、本来のおかゆとは別もの。さらさらのかゆではなく糊(のり)状になっています。それではおいしくない。

粥(かゆ)という漢字は、米を鍋に入れ蓋をしてコトコト炊いている様子を表しているといいます。「人は粥を待てるが、粥は人を待たない」という格言があるように、おかゆのおいしさは、でき上がったその刹那(せつな)を逃さずに食べてこそわかるものなのです。

本当においしいおかゆをお店で食べることはほぼ不可能です。なぜなら、おかゆのピークはわずか2~3分だからです。これでは商品にはなりません。だからこそ、家庭だけで味わえる最高の美味なのです。

今回はおかゆに合う青じその醤油漬けを添えて、夏おかゆとしてご紹介します。前日の残りの冷やご飯からおかゆを作るのはおすすめしません。おかゆは米から炊き、冷やご飯は焼きおにぎりにして青じその醤油漬けで包むとおいしく召し上がれます。今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「本当においしいかゆ、青じその醤油漬け添え」は、野菜料理をおいしくする7要素中4要素をクリア。

旨み ◎塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

米から時間をかけてゆっくりと炊き、わずか数分の美味のピークを逃さず食する

・中華がゆのように油分を加えるとわかりやすいおいしさにはなるが、淡味を堪能することをおすすめする。

・旨みや油分、刺激を求めるなら、かゆは淡味のままで薬味を工夫する。揚げ湯葉、生姜味噌、各種佃煮など







本当においしいかゆ、青じその醤油漬け添え

「本当においしいかゆ(右)」


【材料(3人分)】
・米 1カップ(180cc)

・水 7カップ(1260cc)

・塩 少々

【作り方】
1.かゆを炊く30分以上前に米を研ぎ、ざるに上げておく。米の研ぎ方は通常と同じ。

2.熱が全体に回りやすい土鍋(なければ蓋付きの鍋)に、米と水を入れて蓋をして火にかける。

3.沸いたらとろ火にし、蓋を少しズラして、40~45分くらいかけてゆっくり炊く。

4.炊き上がって、ふっくらと米の粒が花が咲いたように開いたら、ごくごく少量の塩を加えて飯粒が崩れないように、一度だけ、さっとかき混ぜ火を止め、すぐに供する。

※3分もすると水気がなくなりだし、ベタついてくるのですぐに食べる。

「青じその醤油漬け(奥)」


【材料(作りやすい分量)】
・青じそ 20枚

・日本酒 50cc

・濃口醤油 50cc

【作り方】
1.青じそは洗って、茎の部分を切り落とす。

2.鍋に日本酒を入れて火にかけ、煮切ってアルコール分をとばす。いつまでも火にかけていると蒸発するので、軽く煮切る感じでよい。

3.2が冷めたら濃口醤油と混ぜ合わせ、ジッパー付き保存袋などに入れ、青じそを入れて密閉する。3時間ほどで漬かる。冷蔵庫で4~5日は日持ちする。

※刺激や油分が好みの場合はプロセス3で赤唐辛子とサラダ油を数滴加える。

※冷やご飯があれば焼きおにぎりにしてもおいしい。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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