プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。
一覧はこちら>> 新生姜のかき揚げ、甘酢漬けのフライ
今日からお盆ですね。蝉の声でも聞きながら、真っ昼間からキンキンに冷えたビールをグイッといきたいところです。
そんなときの気の利いたつまみって案外思いつきません。唐揚げ? ポテトチップス? う~ん、悪くはありませんが……、いつも枝豆では、これまた、う~ん。
それら定番のつまみの中にあって白眉(はくび)と言われる一品をご紹介します。簡単ですが、お盆で帰郷されたご家族、遊びにいらっしゃったご友人にも褒められること請け合いです。
以前、ご紹介しました「
新生姜の甘酢漬け3種」、「
枝豆ととうもろこしのかき揚げ」は試していただけたでしょうか?
やってない、う~ん……(悲)、今回の「新生姜のかき揚げ、甘酢漬けのフライ」はこれらの応用展開になります。試してくださった方も、まだの方も、野菜料理を楽しみましょう。
ちょっとしたコツ
・「新生姜のかき揚げ」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素をクリア。
旨み ◎塩分 甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激
・水分が多い新生姜は、揚げると水分が蒸発して痩せてしまう。太めのマッチ棒状に切ると風味と刺激、食感が堪能できる。
・旨みを追加したければ、塩昆布を刻んで混ぜ、一緒に揚げるとよい。
・「新生姜の甘酢漬けのフライ」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素をクリア。
旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激
・甘酢漬けは生の生姜に比べて水分量が多く、甘酢で漬けているため、天ぷらにすると焦げやすい。外はカリッ、中は甘酢がジュワッ、を実現するためにはフライがベスト。
・パン粉の代わりに湿けった柿の種や煎餅を砕いてつけて揚げても、おつまみとしてはおいしい。
「新生姜のかき揚げ(左)」
【材料(2人分)】・新生姜 適量
新生姜の選び方は「
新生姜の甘酢漬け3種」参照
天ぷら衣
・薄力粉 100g
・冷水 100cc
・卵 1個
・揚げ油 適量
【作り方】1.ボウルに冷水を入れ卵を加え、泡立て器で溶きほぐす。薄力粉を加えて粘りが出ないようにさっくりと混ぜる。ベジタリアン用は卵を使わない。
2.新生姜はさっと洗い、皮はむかない。柔らかい部位を3mm×3mm×40mmくらいの太めのマッチ棒状に切る。
3.2をボウルに入れて、少量の薄力粉(分量外)をまぶす。もっと旨みが欲しければ、塩昆布を刻んで生姜に加えてもよい。
4.3に1の天ぷら衣を適量加え、全体が均等になるよう混ぜる。
5.180℃に熱した揚げ油の中に、4を小さなお玉で静かに入れていく。最初は180℃にしておき、生姜を入れた後に170℃になるように火加減を調整する。
6.油の中で生姜が広がってきたら、箸で寄せるようにして形を整える。しばらくしたら、裏返してさらに揚げる。揚げ上がりの目安は、「ひと目でわかるプロセス&テクニック」を参照。
7.油をよく切って、塩とともに供する。
新生姜甘酢漬けのフライ(写真右)
【材料(作りやすい分量)】・新生姜の甘酢漬け 適量
「
新生姜の甘酢漬3種」参照
・卵 適量
・小麦粉 適量
・パン粉(粒が細かいもの) 適量
・揚げ油 適量
【作り方】1.新生姜の甘酢漬けは、1~2cm角にコロッと切る。
2.1の水分をクッキングペーパーでさっと拭いて小麦粉をまぶし、といた卵にくぐらせてパン粉をつける。ベジタリアン用は卵を用いず、小麦粉に水を加え混ぜたものにくぐらせ、パン粉をつける。半端に残った柿の種や煎餅があれば、保存袋に入れて細かく砕き、パン粉の代わりにつけて揚げてもよい。醤油の味と辛みが加わってこれもよいおつまみになる。
3.170℃強に熱した揚げ油の中に2を入れてカラッと揚げる。
私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。 六雁(むつかり)
榎園豊治さんプロフィール銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。
東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:
http://www.mutsukari.com連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。 文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗