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透明でコシのあるできたて葛切りは、おもてなしデザートにもぴったりです

2021.08.27

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

葛切り


葛切り

今日は葛切りをご紹介します。以前、「水羊羹、ココナッツ水羊羹」をお教えした際に、この連載では和菓子屋のほうが上手に作れる甘味は取り上げない、できたてが最高で、自分で作ったほうがおいしい菓子のみを紹介する旨を書きました。

葛切りはまさに、その言葉どおりの甘味です。老舗の葛切りで有名なお店がテレビなどで紹介されることがあります。テレビ取材ですから最高の状態を撮っているとは思いますが、それでも少し白濁しています。


しかし、これは仕方がないことなのです。オーダーが入るたびに葛切りを1人分ずつ茹でるなど、非効率極まりなく、現場としては難しい。あらかじめ何人分かまとめて茹で、オーダーが入るたびに盛り付けていきます。それが商売です。ならば家庭で作りましょう。

お店のよりはるかにレベルの高い、透き通ってコシのある葛切りを食べることができます。お客さまをお招きしたときなどにお出しすれば、間違いなく絶賛されるはずです。

通常は黒蜜などで食べることが多い葛切りですが、夏らしく、昆布レモン蜜とほうじ茶蜜を添えてみました。昆布の旨みとレモンの香り、酸味が透き通った葛切りにぴったりです。ほうじ茶の香ばしい香りもほっとさせてくれます。

どこに出しても恥ずかしくない、自慢できるあなただけの夏の甘味をぜひマスターしてください。今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「葛切り」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素をクリア。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激

・生地を流したバットの底面を湯に当てて、バットの中で生地を前後に揺らし、生地が半透明になったらバットごと湯の中に落とす。半透明にならないうちに湯に落とすと、生地が湯の中に流れてしまうので注意

透明でコシがあるうちに食べる。時間とともに白濁しコシがなくなる。







「葛切り」


葛切り

【材料(作りやすい分量)】
・本葛粉 1/2カップ

・水 1カップ

・昆布レモン蜜 適量

・レモンの皮 少々

・ほうじ茶蜜 適量
かき氷自家製蜜」参照

【作り方】
1.ボウルに分量の水を入れ、本葛粉を加えて1~2分おく。泡立て器でよくかき混ぜて本葛粉を完全に溶かし、茶こしなどでこす。完全に溶けていればこす工程は省いてもよい。

2.大きめの鍋と、それに入る小さめのステンレス製バットを用意する。大きめの鍋には容量の半分ほどの湯を沸かしておく。

3.1を葛粉が沈殿しないように再度かき混ぜ、バットに3~4mmの厚みで流す。

4バットをやっとこやペンチなどではさみ、底面を鍋の沸いた湯に当てて、バットの中で生地を前後にくり返し揺らして加熱する。生地が半透明になったらバットごと湯の中に落とす。

5.湯に沈んだバットの中の生地が透明になり、茹で上がったら、湯から引き上げてバットごと用意しておいた氷水に入れる。すぐに冷えるのでバットを氷水から取り出し、フライ返しなどで生地を外してまな板の上にのせ、お好みで7~8mm幅に切る。

6.5を器に盛り、蜜を添えて透明でコシがあるうちに食べる。昆布レモン蜜をかけて食べる場合は、レモンの皮をすりおろして少量ふりかける。

昆布レモン蜜


【材料(作りやすい分量)】
・昆布出汁 300cc

・砂糖 135g

・レモン汁 105cc(約3個分)

【作り方】
1.昆布出汁は火にかけず、水出しという手法を使って出汁をとる。なるべく上質な昆布10gを300ccの水に漬けて、一晩冷蔵庫に入れて味を出す。

2.1から昆布を引き上げて、出汁をボウルに移し、砂糖を加えて泡立て器でよく混ぜ溶かす。次にレモン汁を加えて完成。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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