プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。
一覧はこちら>> エリンギ、赤ピーマン、オクラの味噌炒め
日本の食材の旬には「走り」「盛り」「名残」の3つがあるとされます。その季節に初めて収穫されたものが走りで、流通量も増えて一番おいしいのが盛り、そして、終わりかけに来年もまた食べられるようにと惜しみながら食べるのが名残です。
そのなかで相性の良い旬の食べ物同士を出会わせることで、風味を引き立て合ったり、季節感を高めあったりする「出会いもの」という食文化ができました。
今回は走りのきのこと、盛りの赤ピーマン、名残のオクラを出会わせました。香りの高い初ものの粉山椒も丁度出てきます。これらを合わせて、今だから味わえる逸品を紹介します。
献立に迷ったら、「走り」「盛り」「名残」の3つの旬を組み合わせてオリジナルの「出会いもの」を作ってみてはどうでしょう。そして、あなただけの野菜料理を楽しみましょう。
ちょっとしたコツ
・「エリンギ、赤ピーマン、オクラの味噌炒め」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激
・エリンギ、赤ピーマン、オクラはどれも油と相性がよい。火が入りにくいものから順に炒めて、油を介して一体化させる。
・味噌は味をつけるというよりも風味を追加する感じで使う。さらに生姜と香りの高い粉山椒の辛みと刺激でさらにおいしくなる。
「エリンギ、赤ピーマン、オクラの味噌炒め」
【材料(2人分)】・エリンギ 1本
・赤ピーマン 1個
・オクラ 2本
・サラダ油 適量
・生姜(みじん切り) 適量
・信州味噌(他の味噌でもよい) 適量
・美味出汁 大さじ1強
出汁4:濃口醤油1:日本酒1:みりん0.8の割合
・粉山椒(新しくてなるべく上質のもの) 少々
【作り方】1.エリンギは大きさにもよるが、全体が10cmの長さであれば、傘のほうから4㎝、3㎝、3cmほどの長さに3分割にする。傘のほうは柔らかいので4つ割り、軸のほうは少し堅いので縦に6つ割りにする。
2.赤ピーマンは縦に2つに切って種とわたを除き、食べやすい大きさに切る。オクラは、枝元の部分を切って除き、ガクのまわりをむいて、1本を3つくらいの乱切りにする。
3.フライパンを火にかけてサラダ油をひき、生姜とエリンギを入れて炒める。焦げ目がつき始めたら、赤ピーマン、オクラも加えて炒める。
4.素材に火が通り出したら、信州味噌を適量と美味出汁を加えて炒める。仕上げに上質の粉山椒をふりかけ火から下ろして器に盛る。
私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。 六雁(むつかり)
榎園豊治さんプロフィール銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。
東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:
http://www.mutsukari.com連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。 文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗