プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。
一覧はこちら>> 9月の野菜本膳、小いもの紫ずきんずんだ和え
今日は9月の野菜本膳を紹介します。9月にお教えしたレシピを中心に組んでみました。
今回は秋の風情で春慶塗の本膳皆具に盛りました。献立は飯椀:
落花生飯 汁椀:
きのこ汁 平椀:
かぼちゃ揚げ煮、
なす利久煮、巻き干瓢柚子味噌(10月紹介予定)、
ほうれん草ひたし、刻みみょうが 坪椀:小いもの紫ずきんずんだ和えになります。今日は坪椀の一品、ずんだ和えを紹介しましょう。
薄皮が紫色を帯びているので「紫ずきん」。丹波黒大豆を枝豆用に品種改良したもの。生麩のみたらしは甘みとしてだけでなく、様々な料理の隠し味として、今後ご紹介するレシピにも使っていく予定です。ぜひ、自家薬籠中の物としていただければと思います。
秋の野菜料理を楽しみましょう。
ちょっとしたコツ
・「小いもの紫ずきんずんだ和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激
・和えものは味と食感にメリハリをつけることが重要。小いもの滋味、生麩のみたらしの甘み、りんごの酸味、くるみの油分という味の組み合わせ。小いものねっとり、生麩のもちもち、りんごのシャキシャキ、くるみのカリカリという食感の融合。
「小いもの紫ずきんずんだ和え」
【材料(3人分)】・紫ずきんのずんだ衣 50g 「
枝豆のおいしい茹で方、ずんだ和え」参照
紫ずきん(塩茹でしてさやから出したもの)45g、砂糖小さじ1弱、薄口醤油5cc、はちみつ小さじ1弱
・小いもの含め煮 6個 「
小いもの含め煮」参照
・生麩のみたらし 1本(2×2.5×10cm) 「
生麩のみたらし」参照
・りんご(紅玉など酸味のあるもの) 1/10個
・揚げくるみ(皮むきくるみ) 3個
【作り方】1.紫ずきんは塩茹でし、ずんだ衣にする。
2.小いもは直径25mmくらいのものを含め煮にし、半分に切る。いもが大きい場合は4等分する。
3.生麩(今回は粟麩を使用。好みのもので)は2×2.5×10cmに切ってみたらしにし、縦に半分に切った後、1cm厚さに切る。
4.りんごは洗って、皮ごと7mmのさいころ状に切る。
5.皮むきくるみを160℃の油で揚げてクッキングペーパーなどに広げて余分な油を除き、小豆大に刻む。
6.小いも、生麩、りんご、揚げくるみをボウルに入れ、ずんだ衣で和えて器に盛る。
私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。 六雁(むつかり)
榎園豊治さんプロフィール銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。
東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:
http://www.mutsukari.com連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。 文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗