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柿を使った和風のフルーツサラダ。甘酢漬けの野菜と柿の甘みが絶妙です

2021.10.19

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

柿なます


柿なます

柿を使った料理は「柿のくわ焼き、天ぷら」を既にご紹介し、加熱調理する際の注意点についてお話ししましたが、今日は生の柿を使った料理です。

柿なますは柿料理の中では一番知られているもので、9月〜10月の料理屋の定番メニューの一つです。茶懐石でも大変喜ばれ、生の柿と干し柿を使う2つの調理法があります。生で使う場合はキウイ、アボカド、桃などと同様に上手に完熟させる方法や、熟れ具合の見極めが重要になります。


柿なます

柿のほとんどがもともとは渋柿であるため、アルコール(焼酎など)や炭酸ガス(ドライアイス)を使って酸欠を引き起こす方法で渋抜きが行われます。酸欠状態にすることで、渋みのもとであるタンニンが不溶性タンニンに変化し、渋みを感じなくなるのです。さらに別の効果もあります。酸欠状態になると、果肉を柔らかくするエチレンが発生して水分蒸発が進むので柿は柔らかくなります。しかし、出荷前に柔らかくしてしまうと流通に適さなくなるので、渋抜きした後、堅いまま出荷されます。

この特性を理解すれば、用途に応じて柿が熟すスピードを調整することができます。急がないのであれば、常温に置いておくだけでも熟していくので難しくありません。急ぐ場合はりんごなどエチレンを発するものと一緒に食品用ポリ袋に入れて常温で保管するとよいでしょう。熟すのを遅らせたい場合の方法もお教えしましょう。柿はヘタの部分で呼吸をしているので、そこに濡らしたキッチンペーパーなどを当てて食品用ポリ袋に入れて保存すると、呼吸が減って、例えるなら冬眠のような状態になり柔らかくなるのが遅れます。

「柿が赤くなると医者が青くなる」という諺がありますね。青かった柿が赤く熟れる秋になると気候も過ごしやすくなり、また、柿をはじめとする秋の実りの健康効果も手伝って体調を崩す人も少なくなり、今度は医者が青くなるということでしょうか。皆さんが私たちプロを超えるような料理上手になっても青ざめないでもすむように、私も精進を続けます(笑)。今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「柿なます」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。

◎︎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

大根とにんじんの甘酢漬けの作り置きがあれば、あっという間にできる。サラダ感覚で他の野菜を加えてもよい。

・柿が少し堅いときは、切ってからみりんをまぶしてしばらくおくと柔らかくなる

松の実の香ばしさと食感、クレスの刺激が味にボリュームとメリハリをつける。

・強めの旨みが欲しければ、ごま酢クリームを添えてもよい







「柿なます」


柿なます
【材料(2人分)】
・柿(中) 1/2個

・大根の甘酢漬け 長さ2.5cm分

・にんじんの甘酢漬け 2.5cm分
甘酢の作りやすい分量:昆布出汁(水1L、昆布10g)450cc、酢300cc、砂糖100g

・きゅうり 2.5cm

・松の実(香ばしくいって半分に切る) 少々

・クレス(クレソンのスプラウト) 少々

・ごま酢クリーム(お好みで) 適量
作りやすい分量:白ごまペースト(市販品)50g、酢大さじ3、砂糖大さじ3弱

【作り方】
1.写真では柿を丸く抜いているが、6mm角×2.5cmくらいに切ってもよい。柿が堅かったらみりん少々(材料外)をまぶして5〜10分おくと柔らかくなる。

2.大根は甘酢漬けにする。大根を「長いもの白煮」の要領で5mm角×3cmに切って、濃度3%の塩水(材料外)に5〜10分ほどつける。大根がしんなりしたらざるに上げて水気をきり、甘酢に30分以上漬けておく。にんじんは3mm角×2.5cmに切ってさっと茹で、大根同様、甘酢に漬ける。

3.きゅうりは2㎜角×2.5cmに切って濃度3%の塩水(材料外)に5分ほどつけて、しんなりしたら引き上げる。クレスは3cmほどに切る。

4.ボウルに汁気をきった柿、大根、にんじん、きゅうりを入れ混ぜて器に盛る。松の実を散らしクレスを添える。濃いめの味が好みなら、ごま酢クリームをかけてもよい。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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