心躍るおせち料理 第3回 招福のテーブルアレンジ 食空間のスタイルが、ホテルやレストランでもビュッフェから個食化へと大きく舵を切り、多様化が進む今。家族でいただくおせち料理も、もっと自由な発想で楽しんでみてはいかがでしょう。心躍る景色を求めて、小室光博さん(懐石小室)×横瀬多美保さん(スタイリスト)×佐々木直喜さん(花匠)がおすすめする、器づかいの新提案をご紹介します。
前回の記事はこちら>> 洋食器との出会いで清新な輝きを放つ
眼福の麗しきおせち料理
横瀬多美保さんのコーディネートに、小室光博さんが料理を盛りつけ、佐々木直喜さんの花を添えた清々しいテーブル。新年を寿ぎ、幸せへの願いを料理の中に込めたおせち料理。今年は洋食器を取り入れた新味溢れるセッティングで、楽しんでみてはいかがでしょう。
いつもと違う器づかいやプレゼンテーションの工夫次第で、あらためて彩りや形の美しさ、一品一品に宿る祝いの心が際立って見えてきます。
「今はもう、和とか洋とかのカテゴリーにこだわる時代ではないですよね。自分の感性で選んだ好きな器を使って“どんなふうに楽しむか”が大切」と小室光博さん。
スタイリストの横瀬多美保さんの斬新なコーディネート提案を積極的に受け止め、目に麗しき独創的なアイディアが続々とかたちになっていきました。
たとえば、子孫繁栄を象徴するからすみには包丁を入れず、銘々の小さなお重に盛って手でほぐしていただくスタイルに。「鏡開き」にかけた贅沢な「からすみ開き」は、場をパッと明るく盛り上げます。
そして、花を添えるのは、佐々木直喜さんデザインの凜とした「吉祥花フレーム」の花あしらい。いつもと違う、モダンな正月を演出しています。
〔アイディア1〕
時代のムードは銘々盛り 八角重にパン皿を敷き入れて
檜八角二段個重(幅と奥行き17.5〔内寸16.5〕×高さ12センチ)5万7200円、檜箸2200円/中川木工芸 比良工房〈プラヤナ〉ラウンドタルトプラター(直径32センチ)2万6950円、同パンプレート(直径約16センチ)5500円、〈ソル〉オーバルプラター(長径33センチ)3万8170円/ベルナルドジャパン カラフェにしたスパイラルラインベース1万7600円、アペリティフ ハイグラス1万450円、アペリティフ ローグラス9900円/アトリエジュンコ 〈イロンデル〉ナイフレスト1万1000円/ラリックジャパン祝い肴三種とからすみ開きを盛りつけた小さなお重は、末広がりを願った八角形。パンプレートが無理なく入るよう誂えた。大皿(プラター)を折敷として使って。
ローストビーフは、梅形に抜いた甘酢漬けの大根とにんじんをあしらい、新春らしい一皿に。縁起のよい花材を加えた「吉祥花フレーム」が、テーブルに端正な趣を添える。
〔アイディア2〕
ガラス器を脚に見立てたスタンド仕立て。ご馳走は華やかなステージに
ガラスプレゼンテーションプレート(直径35センチ)1万9800円/アトリエ ジュンコ 鎌倉彫 刀華小皿/博古堂 ガルニエ・ティエボー テーブルクロス/横瀬さん私物銀彩が施された大皿の下に置いたのは、脚に見立てた「Sghrスガハラ」のガラス器。中に常磐木である松の葉を敷き詰め、不老長寿の願いを込めた。
奉書巻きは上から時計回りに、白=サーモンと大根、赤=きすとにんじん、黄色=たことなんきん、青=さばときゅうり、黒=鯛と海苔。厄除けの意味を持つ五色が並ぶ。
平皿に高さを持たせることで、まるでステージに登ったように料理が映え、華やぎ感も演出できる。