ゆり根きんとん Christmas ver.
今年はケーキではなく、ゆり根のスイーツでクリスマスを祝うのはいかがでしょう。有名洋菓子店のケーキもおいしいですが、「ああ知ってる、あの店ね」ってなりますよね。苦労してやっと手に入れたケーキだったとしても(笑)。手作りケーキも心がこもっていてうれしいですが、デコレーションのテクニックはプロにはかないません。しかもおいしいケーキには脂肪分が多く……。
ゆり根の真っ白な色はクリスマスにぴったりです。しかも低カロリーでおいしく、派手に飾り立てず、シンプルなスタイルでも映えます。プロもその可能性にまだ気づいていないのでクリスマス用のゆり根スイーツはどこにも売っていません。
和菓子の練り切りやきんとんにはゆり根が使われる場合もありますが、高価なためコストがかかり一般品に使用するのは難しいのです。加えて日持ちもしません。高級な上物にはゆり根や大和いも、白小豆などを加えますが、特注品の場合が多く、その値段はかなり高額に。
売るとなるとどうしても高くなりますが、原価はそれほどでもありません。売値の1/5以下でできるでしょう。だったら家庭で作りませんか。
餅は餅屋、和菓子屋さんは和の意匠は専門で上手ですが、クリスマスとなると勝手が違うのか、えっ!?という結果になる場合もありますね(笑)。自分で作れば意匠も甘みの具合も思いのままですし、乳製品を加えてもいいでしょう。そして何よりできたてが食べられます。今年はゆり根スイーツでメリーホワイトクリスマス! 野菜料理を楽しみましょう。
ちょっとしたコツ
・「ゆり根きんとん Christmas ver.」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素を取り入れている。
◎旨み 塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激
・ゆり根のきんとんは、なめらかな舌触りとゆり根自体の上品でほんのりとした甘さと風味を生かす。なめらかに裏ごしして、加える甘みは最小限にとどめる。
・ゆり根の鱗片には大小があるので、蒸しむらが出ないように大きさを揃えて蒸す。
「百合根きんとん Christmas ver.」
【材料(4〜5人分)】・ゆり根(蒸してつぶしたもの)200g
・白蜜(水2:グラニュー糖1で合わせて1割ほど煮つめたもの) 200cc
・生クリーム(好みで) 200cc
・白こしあん 100g
・さつまいも(紫) 少々
・揚げ油 適量
・のし梅(市販品) 少々
・紅玉 少々
・キウイ 少々
・ドライフルーツ(くこの実、レーズン、ドライりんごなど) 適量
・赤ワイン 少々
・ナッツ類(ピスタチオ、ローストアーモンドスライス) 適量
【作り方】1.姿のままおがくずで包んで売られているゆり根の場合、表面についたおがくずをよく洗い鱗片を外す。ゆり根の下処理は「
ゆり根のかき揚げ、揚げ出し」参照。鱗片には大小あるので、1cm×2cmほどに切り揃えて深めの皿に入れ、蒸気の立った蒸し器に入れる。5〜7分柔らかくなるまで蒸す。
2.蒸した鱗片の中から形のよい小さなものを10枚ほど選び、白蜜(分量外)に漬ける。残りのゆり根は熱いうちに裏ごししてなめらかなペースト状にする。裏ごし器がない場合はポテトマッシャーでつぶすか、チャック付き調理用保存袋に入れてつぶす。
3.ボウルに2のゆり根を入れて白蜜を加えて練る。好みで生クリームも加える。バットに広げてラップをぴったりと張って冷ます。
4.白こしあんは「
水羊羹」を参照して、生こしあん(赤・無糖)を生こしあん(白・無糖)に替えて作る。市販品の白こしあん(加糖)を使ってもよい。
5.紫さつまいもはせん切りにして揚げる。「
いもきんとん」を参照。
6.のし梅を4〜5mm角に切る。紅玉は皮付きのまま、キウイは皮をむいて6mm角に切る。くこの実は赤ワイン漬け(赤ワイン2:白蜜1)にする。レーズン、ドライりんごは6mm角くらいに切る。
7.洗って固く絞ったガーゼで3のゆり根を茶巾にかたどり、汁気をきったくこの実と揚げせん切りさつまいもをのせる。
8.白こしあんを直径2.5cmの玉に丸める。小田巻き(和菓子に使う道具)または、モンブラン用口金をつけた絞り袋に3の百合根を入れて、あん玉の周りに絞り重ねていく。のし梅と蜜漬けしたゆり根の小さな鱗片を散らす。
9.器の十字架形のくぼみに3のきんとんを絞り込んで紅玉、キウイ、レーズン、ドライりんご、ピスタチオ、アーモンドスライスを散らす。ゆり根の茶巾とモンブランも一緒に盛りつける。
私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。