ブロッコリーのやたら漬け、辛子黄身酢かけ
ブロッコリーとカリフラワー、色は違いますが、見た目がよく似ています。どちらもアブラナ科のケールを起源とする野菜です。原種であるケールが進化や突然変異、品種改良を繰り返す中で、葉が結球したものがキャベツ、丸く肥大した茎部分を食べるようになったのがコールラビ、花の部分を食べるようになったのがブロッコリー、ブロッコリーがさらに突然変異したのがカリフラワーといわれています。似ているはずですね。
たくさんついている粒の一つひとつが花のつぼみで、それらが集まった「花蕾(からい)」と花茎の部分を食用とします。カリフラワーは茎の頭部にのみ花蕾が密集してつき、花芽原基(はなめげんき)と呼ばれる小さなつぼみの状態で成長が止まるので、生で食べるとプチッと弾ける食感があります。ブロッコリーはわき芽の先にも花蕾がつく品種もあり、成長し続けるので収穫しないでおくと黄色い花が咲きます。
ブロッコリーとカリフラワーに含まれるビタミンCを生と茹でた場合で比べると、生の状態ではブロッコリーのほうが多く、茹でるとほぼ同じになります。カリフラワーに比べてブロッコリーは茹でることによるビタミンCの損失が大きく、「
ブロッコリーの梅昆布和え、ごま和え、わさび海苔和え」では蒸しました。
今日は蒸し煮にしたブロッコリーと生のカリフラワーを合わせて「やたら漬け」(「
夏野菜のやたら漬け」も参照)にします。そのままでも大変おいしいですが、ご飯にかけたり、これから食卓にのぼることも増える素麺や冷ややっこにも合います。
カリフラワーの選び方は「
ゆばとカリフラワーの煮もの」でお教えしましたので、今回はブロッコリーの選び方です。緑色が濃くて小さなつぼみが隙間なくぎっしり詰まり、丸く堅く盛り上がったものを選んでください。つぼみが黄色くなったものは鮮度が落ちており、房と房に隙間があるもの、つぼみが大きく粗いもの、柔らかいものなどは避けます。茎の切り口がみずみずしくて、すが入っていないことも確認しましょう。
同じように進化したブロッコリーとカリフラワーをそれぞれに、そして合わせて野菜料理を楽しみましょう。
ちょっとしたコツ
・「ブロッコリーのやたら漬け」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激
・塩は控えめに。加え過ぎると後で抜けないが、薄ければたせる。
・作りたてもおいしいが、一日おくと青唐辛子の青臭さが消え、程よい辛みが全体になじむ。
・冷蔵にある季節野菜を好みで追加してもよい。
・「ブロッコリー辛子黄身酢かけ」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激
・ブロッコリーは蒸して持ち味を生かす。
・黄身酢を使う料理は冷たいものが多いが、温かいブロッコリーにかけてもおいしい。
・粗みじん切りにした生のカリフラワーを加えて食感を追加してもよい。
「ブロッコリーのやたら漬け」(右)
【材料(2〜3人分)】・ブロッコリー 50g
・日本酒 大さじ1弱
・カリフラワー 30g
・かぶ 1/2個(大きめのもの)
・長いも 20g
・青唐辛子 1/2〜1本(好みで)
・塩 適量
・がごめ昆布(普通の昆布でもよい) 5g
・刻み昆布(なければ白板昆布を刻んで使ってもよい) 適量
・揚げ油 適量
・青柚子 適量
※下記の材料を参考に季節野菜を好みで追加してもよい
・きゅうり(1cm角のさいの目切り)
・みょうが(5mm厚さの輪切り)
・なす(1cm角のさいの目切り)
・オクラ(茹でて塩をふり種ごと5mm厚さの輪切り)
・トマト(1cm角のさいの目切り)
【作り方】1.ブロッコリーは茎側から切り込みを途中まで入れ、手で裂いてから包丁で小房に分ける。
2.フライパンにブロッコリーを入れて日本酒を加え、蓋をして中火で2分ほど加熱する。火からおろし、そのまま1分30秒〜2分おいて余熱で火を通す。火が通ったら取り出してざるに上げ、うちわや扇風機で冷ます。1cm程度の小房に切る。
3.カリフラワーは茎側から切り込みを途中まで入れ、手で裂いてから包丁で1cm程度の小房に分ける。
4.かぶは皮をむいて1cm角のさいの目に切る。長いもも皮をむいて6〜7mmのさいの目に切り、水に放して流水でぬめりを洗い流す。クッキングペーパーで水気を除く。青唐辛子は枝部分を外して、種ごと3〜4mm幅に切る。
5.ボウルにブロッコリー、カリフラワー、かぶ、長いも、青唐辛子を入れて、野菜の全重量の0.5%の塩をふって全体にまぶす。20〜30分ほどおいて塩が回ったら、野菜を軽くもんだ後に両手で水分を絞る。
6.5に、粘りが出るがごめ昆布を小さく砕いて加え混ぜる。冷蔵庫で2〜3時間保存し、昆布の旨みを野菜に移す。途中で1度、野菜を混ぜる。
7.揚げ昆布を作る。刻み昆布を160℃の油で揚げ、クッキングペーパーに広げて余分な油を除く。
8.6を器に盛り、青柚子の皮の部分のみをおろし金で削ったものをふりかけ、揚げ昆布をのせて供する。
「ブロッコリー辛子黄身酢かけ」(左)
【材料(2〜3人分)】・ブロッコリー 150g
・日本酒 大さじ2〜2と1/2
・塩 少々
・黄身酢 適量
作りやすい分量:卵黄(ガーゼなどでこしておく)3個、土佐酢30cc(出汁4:薄口醤油1:みりん1:酢1の割合)、砂糖小さじ1/2、酢10cc、薄口醤油小さじ1弱
「
金時草の黄身酢かけ」の「ひと目でわかるプロセス&テクニック」参照
・練り辛子 適量
・かぼちゃの種(市販品。いったもの) 適量
【作り方】1.ブロッコリーは茎側から切り込みを途中まで入れ、手で裂いてから包丁で一口大の小房に分ける。
2.フライパンにブロッコリーを入れて日本酒を加え、蓋をして中火で2分ほど加熱する。火からおろし、そのまま1分30秒〜2分おいて余熱で火を通す。
3.熱い2に塩を薄くふって器に盛り、練り辛子を好みの量加えた黄味酢をかける。かぼちゃの種をのせて熱いうちに供する。
私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。