「心を調える」秋 京都で新体験 第6回(全30回) 今、私たちに必要なのは、心をからっぽにし、頭を整理する時間です。自分の心に、自分の人生に深く残る何かを求めて、日本の心の原点、京都に旅立ちます。
前回の記事はこちら>> 京都で学ぶ、京都を知る。
“紅葉狩り弁当”を作る 辻留 京都店
[教える人]平 晴彦さん(辻留 京都店主人)
平 晴彦さん(たいら・はるひこ)1946年東京生まれ。青森県立青森高校卒業後、1965年に「辻留銀座店」に入店。2代目辻 嘉一の薫陶を受ける。1975年より出張料理専門の「辻留 京都店」を任され、現在にいたる。著書に『京都辻留がつくる季節の茶懐石』(小社刊)、『京都辻留 季節の煮物椀』『辻留の盛り付け 茶懐石からお弁当まで』(淡交社)ほか。京都には「弁当始め、弁当納め」という言葉があります。これは春の花見から紅葉狩りまでを指し、弁当を外でおいしく食べられる季節を表しています。京都では古くから行楽の文化があったのでしょう──そう話すのは「辻留 京都店」の主人・平 晴彦さん。
一年を通してさまざまな弁当を作り続ける平さんに、紅葉狩り弁当の作り方と、その心得を教えていただきました。
第一に、弁当は持ち運ぶものなので、移動中に崩れたり、料理が動いたりしないよう、隙間なくきっちり詰めることが重要です。そしてきっちり詰めるということは、別の料理が隣り合うということ。味が混じらないよう、似た味を集めて詰めます。
最後に大切なのが立体的に盛ることです。こうすると箸が入りやすくなり、さらに、具材の切り口の美しさや、柔らかさが際立つことで、食欲もそそられます。全体を見ながら、彩りのあるものを最後に詰めると、見栄えも美しく仕上がります。
弁当作りの心得 三か条
一、崩れないようきっちり詰める・持ち運ぶための盛りつけを
二、似た味同士を隣にする・味が混じらないように
三、立体的に盛る・箸が入りやすく、美しく
「折詰は季節を表しやすい」と平さん。紅葉狩り弁当には、松茸やきぬかつぎ、むかごなど、秋の食材をふんだんに盛り込む。懐石料理と同様、弁当作りにおいても旬の味覚を取り入れることが大切。献立
吹き寄せ★(松葉牛蒡 紅葉麩 こんにゃく辛煮 銀杏 栗 しめじ むかご)
松茸御飯★
柴漬
湯葉山椒焼き
菊菜菊花胡麻浸し★
鰆幽庵焼き
青竹串刺し(車海老 胡瓜 しいたけ)
南京蒸し煮★
出し巻
海老飛龍頭★
とり旨煮★
きぬかつぎ★
★のついた料理は9月22日配信予定の第8回、または『家庭画報2022年10月号』57ページでレシピを紹介。 Information
京都での紅葉狩りに
[辻留 京都店] 秋の弁当のご案内
- 京都での行楽の際には弁当を買い求めるのも一案。「辻留 京都店」のほか、JR京都伊勢丹や京都髙島屋などの百貨店、新幹線改札内の「京老舗の味 舞妓」でも販売しています。 京都の紅葉の時期に合わせて販売する、秋の弁当6480円(布巾付き)。内容は時期により変わる。辻留 京都店で購入する際は3日前までに予約を。京都市東山区三条通大橋東入3-16 TEL:075(771)1718
【読者限定】イベント案内 紅葉狩り弁当 特別料理教室
今回ご紹介した紅葉狩り弁当を、「辻留 京都店」主人の平 晴彦さんに教わる、本誌読者限定の特別料理教室を開催します。講習の後は食事も楽しめます。京都の紅葉が盛りの頃、名店の弁当を作り、味わい、深まりゆく秋を感じるひとときをお過ごしください。 詳細・応募はこちら>>
撮影/大道雪代
『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。