狐野扶実子(この・ふみこ)さん東京都生まれ。1997年にパリの名門料理学校「ル・コルドン・ブルー」を首席で卒業。3つ星レストラン「アルページュ」に入り、シェフのアラン・パッサール氏に師事し、スーシェフを務める。その後、出張料理人として独立し、2005年、パリの老舗「フォション」のエグゼクティブシェフに就任する。現在はレストランや国際線機内食のメニュー開発に携わるなど、料理プロデューサー・食ジャーナリストとして活躍する。2019年4月に小社より『おもてなしのシンプルフレンチ』が刊行された。
「オリーブオイルと好相性の柑橘類。グレープフルーツの苦みが、その後の食欲を増進させます」
「日本では、おもてなし料理を作るとなると、ものすごく大変で、ゲストに満足してもらうために頂点を目指して頑張るというイメージがあります。対して欧米の人はおもてなしが日常の延長にあって、さらっとこなしている感じがします」と狐野扶実子さん。
ここで紹介するのは前菜+メイン+デザートの三品で構成される、初夏のコースの一例。頑張りすぎずにおもてなしができるように考えられた、食材の持ち味を生かしたシンプルなレシピです。
オリーブオイルと、オレンジやレモン、グレープフルーツなどの柑橘類との組み合わせは、日本人にはなじみが薄いかもしれませんが、実は好相性。両者とも、白身の鯛とよく合います。
「グレープフルーツの苦みには、食欲を増進させる効果があると聞きました。テーブルで話題になるような、そうしたストーリーをメニューに取り入れることも大切ですね」。
テーブル上には通常花を飾りますが、代わりにオブジェのような姿形のフルーツや野菜、例えばアーティチョーク、秋ならかぼちゃを添えてもいいですね、と狐野さん。ここではガラスの小皿にラディッシュをのせて、涼やかさと愛らしさをプラスしました。