加藤和樹さんが達人に学ぶ好評連載の第4弾、「お正月料理に挑戦!」。料理研究家・久保香菜子さんに、お正月料理を簡単においしく作る工夫を学んできました。今回は、栗きんとんやなますなど、おせちに必ず入る料理を簡単に作れるアイディアを習います。
前回の記事はこちら>>> 【第3回】アイディアで“飽き知らず”!おせちの定番料理に驚きのひと工夫
久保香菜子さん(以下、敬称略):今回ご紹介するのは、「栗きんとん、なます、昆布じめ」というおせち料理の定番献立を、手軽に作るためのアイディアです。
まずは、栗きんとんから。加藤さんは、栗きんとんはお好きですか?
加藤和樹さん(以下、敬称略):大好きです。名古屋に帰ると、たまに買います。隣の岐阜が栗の名産地なので。
久保:岐阜の栗きんとんって、本当においしいですよね。
(1)大和芋の栗きんとん
栗きんとんを手軽に
久保:スタンダードな栗きんとんは、さつまいもを使っていますが、それだと甘すぎるという方もいらっしゃいますよね。なので、さつまいもの代わりに大和芋を使うのがポイントです。
では、栗きんとんを作っていきましょう。まず、蒸した大和芋を熱いうちに裏漉しします。右手で持ったへらを、上から左手でぐっと押さえ、押しつぶすようにして漉します。コツは引っ張らないことと、濾し器を対角線に使うことです。
加藤:わかりました。
引っ張らないのがコツ
久保:漉し器はお持ちですか?
加藤:料理は好きですが、さすがに持ってないですね。
久保:マッシュポテトは作らない?漉し器があると便利ですよ。あんまり引っ張ると粘り気が出て、やりにくくなるので注意しましょう。
加藤:なるほど。
裏漉し、初体験!
久保:もしかして、初の裏漉し体験ですか?
加藤:はい。祖母が栗きんとんを作っていたんですが、やったことはなかったです。
久保:おばあさまと一緒に住んでいらしたんですか?
加藤:はい。よく実家の近くで栗を拾いました。それを持って帰ると、栗きんとんを作ってくれて。“栗拾い係”でしたね。春は、つくしも取っていました。それはおひたしにしてもらって。
久保:素敵な思い出ですね。
ブランデーで香りづけ
久保:裏漉しした大和芋にブランデーを加えて混ぜます。ブランデーの風味で大人の味になりますよ。しっかりと混ざったらラップに包んで、粗熱を取ってください。
大和芋で栗を包む
久保:粗熱が取れたら、1個分ずつ分けて丸めておきます。ふきんに丸めた大和芋を乗せます。その大和芋で半分に切った栗を包んでください。
加藤:あ、これ、やった記憶があります!
久保:おばあさまのお手伝いをされていたんですか?
加藤:はい。懐かしいです。
ふきんで包んで、絞る
久保:栗の切断面が下になるように、置いてください。大和芋にぎゅっと栗を押し入れて、ふきんで包んで絞ってください。
加藤:(ぎゅうっと絞る)
久保:あ、そんなに力一杯やらなくて大丈夫です(笑)。
加藤:すみません!
きれいに絞れました!
加藤:先生、どうでしょう?
久保:きれい、きれい!
加藤:おいしそうですね。
久保:加藤さん、ひょっとして甘いものがお好きなんですか?
加藤:大好きです!
●大和芋の栗きんとん
【材料(10個分)】・大和芋 1個(正味約250グラム)
・グラニュー糖 25グラム
・栗の甘露煮(市販) 5個
・ブランデー(またはラム酒) 小さじ1
【作り方】(1) 大和芋は皮をむいて1㎝厚さに切り、強火の蒸し器で蒸して火を通す。電子レンジを使う場合は、水をたっぷりからめてラップに包み、加熱する。
(2) (1)を熱いうちに裏漉しし、すぐにグラニュー糖を加えて溶かし混ぜる。ブランデーを加えて混ぜる。しっかり混ぜたらボウルから取り出し、ラップに包んで粗熱をとる。
(3) 栗の甘露煮は半分に切る。
(4) 栗の甘露煮のシロップ(材料外)にふきんをひたし、絞る。(2)を25グラムずつ丸めてふきんにのせる(ピンポン玉より少し小さいぐらいが目安)。(3)を1個ずつのせて茶巾絞りにする。