「こなし」とは、餡(あん)に粉をそのまま入れて混ぜ、蒸し上げた生地を使った菓子です。強力粉を混ぜるともっちりとした食感に、薄力粉を混ぜるとややあっさりとした食感に仕上がります。粘土のような柔らかさに仕上がるため、はっきりとした造形に向きます。
こなしを使った10月の主菓子「山みち」を清 真知子(きよし・まちこ)さんに教えていただきました。清さんは茶道裏千家教授の資格を持ち、兵庫県明石市で茶道と和菓子の教室「さろん閑遊」を主宰しています。
山みちは、緑、黄、朱の3色で山々が紅葉する様を、上部の曲線で山並みを表した棹(さお)物です。外側のこなし生地はピンクと緑で春の山みち、緑の濃淡で夏の山みち、真っ白にすれば冬の山みちと、配色を変えることで四季折々の山の姿が表現できます。
10月のこなしの主菓子
「山みち」の作り方
【材料(25cm×2本分)】
(A)
・こし餡 500g
・強力粉 50g
・餅粉 10g
(B)
・白餡 250g
・強力粉 25g
・餅粉 5g
・食紅(紅、黄、緑) 適宜
(C)
・水 50g
・上白糖 100g
【準備】
Cを小鍋に入れて火にかけ、煮溶かして冷まし、シロップを用意する。
【作り方】
(1)A、Bの食紅以外の材料をそれぞれ別のボウルに入れ、粉気がなくなるまでよく揉み混ぜる。
(2)生地を、別々の濡れ布巾にこぶし大にちぎって広げ、強火で35分蒸す。蒸し上がったら、A、Bともやけどに注意しながら布巾ごと取り出す。
(3)濡れ布巾を取り替え、A、Bともに熱いうちに生地が滑らかになるまで揉み込む。準備しておいたシロップを加えてさらに揉み、好みの硬さに仕上げる。
ポイント▲耳たぶくらいの硬さが目安。シロップの混ぜ加減で生地の硬さが変わる。冷めると少し硬くなることを考慮する。(4)Bの白餡のこなし生地は3 等分し、それぞれ黄、緑、朱(紅+黄)に染める。染めた生地を各色とも2等分する(2本作るため)。
(5)(4)をそれぞれ25cmほどの棒状にし、大きめに敷いたラップの上に緑、黄、朱の順に並べる。表裏ともつなぎ目を指で合わせてなじませる。
(6)外しやすいよう上から斜めにラップをかけ、麵棒でのばす。
(7)(6)の上部のラップを外し、Aのこし餡のこなし生地半量を棒状にしてのせる。
(8)下のラップごと、こし餡のこなし生地に3色のこなし生地を巻きつける。
(9)ラップを外し、きつく絞った濡れ布巾に移し、布目がつくよう巻きなおす。
(10)3色の生地を上にし、箸で凹凸をつける。まず中央に1本窪みをつける。
(11)その前後に均等に2本の窪みをつける。
(12)端を切り落とし、濡れ布巾で包丁を拭きながら、2.5cm幅に切る。
【保存法と日持ち】
密閉容器に入れ、常温で1〜2日。ラップを敷いた密閉容器に入れ、冷凍保存も可能。
次回は、お茶人さんにはおなじみの「亥の子餅」のレシピをご紹介します。 記事はこちら>>滑らかな求肥で作る「栗餅」のやさしいレシピ上品な甘さでまったりとろける。京都の和菓子「葛焼き」の作り方「#やさしく作れる本格和菓子」の記事一覧 清 真知子/Machiko Kiyoshi
1960年神戸市に生まれる。83年裏千家学園茶道専門学校卒業。96年神戸市内に、2002年に東京・学芸大学に和菓子教室を開く。現在、茶道裏千家教授、茶道と和菓子の教室「さろん閑遊」を主宰。デモンストレーションと実技で構成される和菓子教室は、季節感溢れる美しい和菓子が初心者でも上手に作れると好評を博している。2014年兵庫県明石市に教室を移転。清さんが主宰するYouTubeチャンネル「本格和菓子」は
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今回ご紹介した和菓子を含め、主菓子と干菓子55のレシピを掲載。豊富なプロセス写真とわかりやすい文章で、ご自宅での和菓子の作り方をご紹介しています。
清 真知子 (著)
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撮影/浮田輝雄