京都の醍醐味 第11回(全14回) 紅葉の美しい隠れ里の寺社、襲名展を控えた十六代樂 吉左衞門家、ラグジュアリーの中に伝統が息づく最新ホテル、伝統の味と新味が楽しめる料理店など、いつの日か訪れたい京都の“今”へご案内します。
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京都の秋は旬の食材が目白押し。名残の鱧に松茸、紅葉鯛……。そして器に、あしらいに、秋の風情が盛り込まれます。長く培われた「伝統」の美味に出合える料理店をご紹介します。
「研覃(けんたん)ほりべ」のお造り5種。手前から、唐納豆をはさんだ車海老、旬の紅葉鯛、ちり酢でいただくいか、白甘鯛の昆布じめ、皮目をあぶった戻りがつお。乾山写しの竜田川向付に盛り、筏(いかだ)に見立てた折敷にのせて出される。長く培われた「伝統」
器づかい、盛りつけから四季を存分に感じる
11月の夜のコースから。柿、金時にんじん、大根、ちしゃとう、水前寺のりで五色を表したなますと白髪伊勢海老の華やかな先付。いちょうの形を模した染付の器に盛られる。季節を映す演出に日本料理の美を再認識する「研覃(けんたん)ほりべ」
花街、祇園のビルにあった店から烏丸の町家に移転して以来、おもてなしのスタイルをグレードアップしたご主人の堀部 努さん。
屋号の「研覃」とは、「深く追求、探求し、自分自身を耕し、研鑽する」の意。その二文字に料理への思いを込め、真摯に王道の京料理に向き合います。
「日本料理の背景にある文化や歴史が好きなんです。“おいしく、楽しく、美しく”を基本に、奇をてらわず、季節を感じていただける料理を表現したい」と、表に出ない下ごしらえに手間をかけ、年々料理を進化させています。
2016年に移転し、念願の静寂の館を構えたご主人の堀部さん。カウンター席の奥には坪庭を配し、テーブル席や座敷もある。「40歳を過ぎてニューヨークやヨーロッパを旅して、逆に日本料理のよさを再認識し、もっと深く掘り下げたいと思うようになりました」。
店の顔ともいえる一番だしは、5年以上蔵囲いした利尻昆布、削りたてのかつお節、名水「柳の水」でとり、お客さまの来店10分前にひいて最上の状態で出せるよう心を尽くします。
11月は紅葉をテーマに、秋を色濃く映した料理が登場。お造りは竜田川向付で、八寸は里山の景色に見立てて眼福を誘い、街中にいながらにして紅葉狩りに出た心持ちになります。
下の写真を左にスクロールして詳しくご覧ください。 Information
研覃ほりべ
京都市中京区錦小路通室町西入ル天神山町273
TEL | 075(746)3111 |
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営業時間 | 11時30分~12時30分(入店)、18時~19時30分(入店) |
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定休日 | 火曜定休 |
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撮影/伊藤 信 取材・文/西村晶子 ※営業時間や定休日は状況により変更になる場合があります。
『家庭画報』2021年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。