京都の醍醐味 第12回(全14回) 紅葉の美しい隠れ里の寺社、襲名展を控えた十六代樂 吉左衞門家、ラグジュアリーの中に伝統が息づく最新ホテル、伝統の味と新味が楽しめる料理店など、いつの日か訪れたい京都の“今”へご案内します。
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京都の秋は旬の食材が目白押し。名残の鱧に松茸、紅葉鯛……。そして器に、あしらいに、秋の風情が盛り込まれます。長く培われた「伝統」の美味と料理人の創意が生んだ「新味」に出合える料理店をご紹介します。
老舗の新生カウンターでライブ感と新味を堪能する「近また」
夜の2万円の特別コースから。メインの黒毛和牛の鉄板焼きは自家製の山椒味噌や藻塩、わさびオイルとともに。付け合わせのチップは季節で変わり、秋は栗のチップに。うにしんじょと焼きのりをパンではさんで揚げたうにパン。生うにがたっぷりのる定番料理。創業200余年の料理旅館「近又」に誕生した、老舗の新境地ともいえるカウンター席。夜は勤続28年目を迎える山口敏生料理長が板場に立ち、お座敷とは異なる創意と工夫を凝らした特別料理が出されます。
炭火であぶって香ばしさを加えた、海老いもの合わせ味噌仕立ての椀もの。薄削りの花がつおをかけた瞬間に香りが立ち上がり、柚子のほのかな香りも感じられる。「今までやってこなかった目新しい料理のコースです。作る過程も料理の一部と考え、焼き物はいろいろな料理に取り入れています」。板場に設けた炭床と鉄板を駆使し、合わせ味噌汁の海老いもは炭火であぶって仕上げの花がつおは目の前でかけ、牛肉の鉄板焼きには栗のチップや薬味が添えられます。
車海老や帆立をご飯で包んで揚げた、料理長考案の天茶。天ぷらのころもと天つゆにほうじ茶を加えた、香り豊かな締めご飯。うに尽くしの「うにパン」やご飯ごと天ぷらにする「天茶」など、オリジナルの料理も登場。ライブ感と新味でカウンターを沸かせます。
ソムリエの資格も持つ山口料理長。近又の新しいおもてなしの場となることを願い、8代目の鵜飼英幸さんが「近また」と命名。近また(きんまた)京都市中京区御幸町四条上ル大日町407
TEL:075(221)1039
営業時間:12時~13時30分、18時~19時(ともに入店)
水曜定休、不定休あり コース昼6000円~、夜1万3000円~ 夜のカウンター席特別コース2万円、3万5000円(ともにサービス料込み) 要予約