「心を調える」秋 京都で新体験 第20回(全30回) 時代の変わり目、何かと心がざわめき、心が調(ととの)わないと感じる日々が続きます。今、私たちに必要なのは、心をからっぽにし、頭を整理する時間です。自分の心に、自分の人生に深く残る何かを求めて、日本の心の原点、京都に旅立ちます。
前回の記事はこちら>> この秋に行きたい新・美味処
注目の新店をご紹介します。旅のプランに合わせて選ぶ美味処で、古都の秋をご堪能ください。
ひがしやま司(東山三条)
左・鱧を食べ尽くした人も満足できるように考えられた「鱧とパプリカのすり流しの小鍋仕立て」。伝統的な京料理とは違う表現を試み、あえて定番の旬の素材を外すことも。右・豆腐地と味わう車海老やシャインマスカットの「吹き寄せ」。[おまかせ]和食に多国籍の食材や調理法を取り入れた唯一無二のコース
2021年11月のオープン早々に予約困難な人気店となった話題の一軒。京都の名店「祇園丸山」と「祇園さゝ木」でのべ16年間修業を積んだ宮下 司さんが食材と対話するかのように作り上げる独創の料理に注目が集まっています。
宮下 司さんとの会話を楽しみながら過ごせるシンプルなカウンター席。長年の経験を礎に「和食を食べ慣れたかたにも満足してもらえる、よそにない味、自分にしかできない料理を目指しています」と話す宮下さん。その言葉のとおり、これまで培った京料理の仕事と遊び心を融合させ、お客さまが見守る中、時にダイナミックに、時に繊細に料理を仕上げていきます。日本料理の概念を覆すおまかせ11品のコースには、オリジナルの「シャリ粥」や、エスニックのエッセンスで味わう「生春巻き」が、季節により組み合わせる食材を変えて取り入れられます。
右・コースの序盤に供される寿司めしを昆布だしで柔らかく炊いた「シャリ粥」。秋は新銀杏がのる。左・玉ねぎ麴ときゅうりが鮎の香ばしさと苦みを引き立てる「子持ち鮎の生春巻き」。さらに、ナッツを散らした「吹き寄せ」や、名残の鱧を小鍋に仕立てたものなど、初登場の新味で驚きを誘います。お酒はソムリエの目利きで自在な組み合わせが楽しめて、進化する京料理を思う存分堪能できます。
Information
ひがしやま司(ひがしやまつかさ)
京都市東山区西町127 三条白川橋ビル2階
TEL | 075(771)4696 |
---|
営業時間 | 12時30分(土曜のみ)、18時(ともに一斉スタート) |
---|
定休日 | 日曜・月曜定休 不定休あり |
---|
撮影/蛭子 真 取材・文/西村晶子
『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。