「心を調える」秋 京都で新体験 第21回(全30回) 時代の変わり目、何かと心がざわめき、心が調(ととの)わないと感じる日々が続きます。今、私たちに必要なのは、心をからっぽにし、頭を整理する時間です。自分の心に、自分の人生に深く残る何かを求めて、日本の心の原点、京都に旅立ちます。
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注目の新店をご紹介します。旅のプランに合わせて選ぶ美味処で、古都の秋をご堪能ください。
天若(西陣)
鹿児島の「せごどんファーム」の甘み濃厚なさつまいも、北海道の「福田農園」の肉厚の「王様しいたけ」と黄金のタモギ茸の天ぷら。石臼で挽いた小麦粉と井戸水を合わせたころもはサクサク。[おまかせ]秋の味覚を揚げたての天ぷらでいただく、雅な京料理
口の肥えた旦那衆が集う西陣で59年の歴史を刻む日本料理店「天若」が、5年間の休業を経て、2021年12月にリニューアルオープンしました。
創業者の祖父の下で料理を学んだご主人の西岡瞭さんは、その後、京都の人気料亭「高台寺和久傳」や「おたぎ」で修業を積み、日本料理の未来を見据え、お座敷中心だった店をカウンター8席のみの店に改装。祖父から受け継いだ檜の一枚板カウンターをしつらえ、一人で調理を行っています。
83歳で引退した祖父の跡を継ぎ、次世代の心に響く京料理を目指す西岡 瞭さん。コースは京都の四季や歳事を感じさせる華やかな八寸から始まります。「生粋の京都人である祖父から学んだ料理や、店に以前からある京焼などの器を通して、私と同じ若い世代のかたに京料理や京文化を知っていただけたら」。看板料理の天ぷらは以前の盛り合わせの形を、目の前で一品ずつ揚げて出すスタイルに変え、自ら畑に出向いて見つけた旨みや香り豊かな野菜を積極的に使っています。
「料理ももてなしもまだ道半ば」と語る西岡さん。末長く西陣に息づく店を目指す、志高い一軒です。
下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。 Information
天若(てんじゃく)
京都市上京区牡丹鉾町570
TEL | 非公開 |
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営業時間 | 18時(一斉スタート) |
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定休日 | 水曜・第2火曜定休 |
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撮影/内藤貞保 取材・文/西村晶子
『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。