「心を調える」秋 京都で新体験 第23回(全30回) 時代の変わり目、何かと心がざわめき、心が調(ととの)わないと感じる日々が続きます。今、私たちに必要なのは、心をからっぽにし、頭を整理する時間です。自分の心に、自分の人生に深く残る何かを求めて、日本の心の原点、京都に旅立ちます。
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注目の新店をご紹介します。旅のプランに合わせて選ぶ美味処で、古都の秋をご堪能ください。
Middle(下鴨)
取り分けて楽しむ仔牛の炭火焼き、焼き野菜とサラダ。[おまかせ]移りゆく鴨川の眺望とともに和素材のフレンチを味わう
15歳で英国に留学。その後フランスで料理の修業を積み、帰国後、大阪のコンテンポラリーフレンチの名店に勤めた藤尾康浩シェフ。その間に若手料理人が競う国際料理コンクール「サンペレグリノ ヤングシェフ」で日本人初のグランプリを獲得し、以来、その料理は注目と期待を集めています。
2021年10月にオープンした「Middle」ではゲストや食材によってメニューを変え、独創的かつ芸術的な料理が11 品のコースに仕立てられます。
数寄屋建築や和の趣を取り入れた重厚な佇まいの一軒家。2階のダイニングからは鴨川を一望でき、紅葉も楽しめる。「以前は自我を前面に打ち出す攻めの料理が多かったのですが、京都に来てからは食材や空間、季節や人に合わせた料理を自然に作るようになりました」。
イタリア領事の元私邸だった建物との出合いや、開業準備中に弟子入りした日本料理店「木山」での得難い経験に刺激を受けて、「まだ始まったばかり」とも語ります。秋からは取り分けながら味わうメイン料理や、和素材を使った一皿も登場。メニューはなく、すべては来店してからのお楽しみ。鴨川を前に一期一会の美食に出合えます。
下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。 撮影/内藤貞保 取材・文/西村晶子
『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。