「心を調える」秋 京都で新体験 第29回(全30回) 時代の変わり目、何かと心がざわめき、心が調(ととの)わないと感じる日々が続きます。今、私たちに必要なのは、心をからっぽにし、頭を整理する時間です。自分の心に、自分の人生に深く残る何かを求めて、日本の心の原点、京都に旅立ちます。
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コースメニューの一例の1品目は、「宇治茶 利招園茶舗」の玉露とあおさと発酵バターのお菓子。和洋のバランスが絶妙な一品。若手現代芸術家の感性が光る、充実した5品のペアリングコース
建仁寺・両足院での個展が開催予定など、活躍が期待されながら、27 歳の若さで急逝した現代芸術家でデザイナーの髙橋大雅さんが2021年にオープンした、遺作ともいえる茶寮です。
2品目は「一保堂」の極上ほうじ茶と、とうもろこしのお汁粉。お茶の席を総合芸術と捉え、空間から器までこだわり抜いてプロデュース。京都の唐紙工房「かみ添」に依頼して作り上げた壁紙や、茶寮のためだけに作った石の器など、ここだけの特別なしつらいが魅力です。店長の山本浩之さんが一礼してからお茶を淹れていく様子は、パフォーマンスアートのよう。
店長の山本さん。モダンな空間にお茶が映える。月替わりの全5品のコースの中にはお茶をベースにしたカクテルもあります。
Information
立礼茶室「然美」(りゅうれいちゃしつ「さび」)
京都市東山区祇園町南側570-120
撮影/本誌・西山 航
『家庭画報』2022年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。