驚きと感動の“美味逸品” 第27回(全29回) 料理は、言葉より雄弁にその国のことを物語ります。駐日大使公邸のおもてなしを拝見し、世界各国の料理をレストランで楽しみ、珍しいスパイスやハーブに出合える食材店を巡る――私たちの周りにたくさんある“日本の中の外国”へご案内します。
前回の記事はこちら>> 「タイ料理 みもっと」(東京・目黒)
日本各地の上質な旬の食材と伝統的なタイ料理を、絶妙なバランスで融合させることで新味溢れる一品に。贅沢な冬の味覚を新感覚で楽しめる「香箱蟹の春雨炒め」。伝統料理から生まれた新しい味
美しく盛りつけられた料理を口にしたときに感じるのは、さまざまな味覚が重層的に調和するおいしさ。カジュアルな屋台料理や激辛の印象があるひと昔前のタイ料理のイメージを覆す、洗練された味が堪能できると話題の店です。
オーナーシェフのみもっとさんは、現地でプロを目指すタイ人が通う専門学校や「マンダリン オリエンタル ホテル」のクッキングスクールで上品な味つけのタイ料理を学び、帰国後に料理教室をスタート。
キッチンを囲むようにカウンターとテーブルを配した店内。名前と店名の“みもっと”は、SNSのアカウント名。教室とともに作る料理も評判を呼び、ついには「自分が伝えたい料理を味わっていただける場所を作ろう」と店を出す決心をしました。2019年のオープン前にはチェンマイに赴き、世界中からプロのシェフが集まる料理学校で発酵料理や古典料理、地方の郷土料理も習得し、技術と知識を深めました。
「味に味を重ねていくのがタイ料理の魅力です。オーセンティックな味つけや調理法で日本の食材を生かす。そんな日本ならではの本格タイ料理を追求したい」とみもっとさん。
右・蓮の実や鶏肉などが入ったご飯を、大きな蓮の葉で包み込んで蒸し上げる香り豊かな「蓮の葉包みご飯」は、中国料理がルーツのタイ料理の一つ。左・石臼を使って手作りする伝統的なソースでマリネした「北海道産ホタテとりんごのサラダ」。旬の食材を取り入れたコース仕立ての12品は、自然派ワインとも好相性。タイ料理の新しい可能性を宿した繊細な味わいです。
Information
タイ料理 みもっと
東京都目黒区目黒1-24-7
TEL | 非公開 |
---|
営業時間 | 17時30分~22時(17時30分、19時、20時の一斉スタート制) |
---|
定休日 | 日曜・月曜・火曜定休 |
---|
撮影/角田 進 取材・文/鈴木博美
『家庭画報』2022年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。